【既報関連】11日に上院本会議採決が予定されている労働法改正案について、現地紙が上院議員たちに投票動向アンケート調査を行った結果、全81上議の内、42人が賛成の意向である事が分かった。9日付同紙が報じている。
同案承認には41票以上の賛成が必要なので、アンケートの結果通りなら、同案は僅差で可決される。
反対との意向を表明したのは23人で、16人は無回答だった。回答しなかった16人が反対に回り、さらに賛成派から造反が1人出れば、労働法改正案は否決される。
連邦検察庁がテメル大統領を告発し、告発受理の是非を決める下院の情勢も紛糾している中、テメル政権は労働法改正案の上院承認を急いでいる。
労働法改正案には、雇用者と労働者の契約関係を柔軟化させる項目、組合税の廃止、頻発する労働訴訟の発生を抑える項目、労働高裁の判決に制限を加える項目、有給休暇の分割取得などが記されており、企業家たちの支持を受けている。
法案に賛成と答えた多くの議員たちは、「賛成するのは、テメル大統領が、『裁可の際、項目別拒否権を行使、または暫定令(MP)発令で法案を調整する』と約束したからだ」としている。
与党側でありながら、不回答だったテウマリオ・モタ上議(ブラジル労働党・PTB)は、「大統領が間違いなくMPを出して、適切な調整を行うか見極める必要がある」と語った。
賛成票を取り付けるため、政府上院リーダーのロメロ・ジュカ上議(PMDB)は先週、採決前最後の委員会で、「議会は修正なしで通過しても、その後MPを出して必要な調整を行う」と約束したテメル大統領の書簡を読み上げた。
野党側は、法案に修正を盛り込むことで、下院再審議に持ち込むことを戦略としている。労働法改正案反対の急先鋒であるパウロ・パイン上議(労働者党・PT)は、「もしできるならば10票分だって反対に入れたい」と語っている。
政府内には、4日に上院で行われた労働法改正案緊急動議が、賛成46、反対19で通った事を、本会議採決を楽観視できる材料として見る向きがある。また、政府側議員らは、「法案否決は政府の敗北でなく、議会の敗北」とし、議員たちに採決を欠席しないように説得を続けている。