《ブラジル》来年度予算=支出増大は390億レアルだけ=義務的支出だけで超過確実=「多大な努力必要」と報告官
2018年連邦予算基本法(LDO)最終報告書が10日に発表され、連邦政府の来年度予算は、今年と比較して390億レアル分しか支出拡大の余地がない事が分かったと、11日付現地紙が報じた。
同報告書の報告官であるマルクス・ペスターナ下議(民主社会党・PSDB)は、これでは必要最低限の義務的支出も賄えないとしている。連邦政府も、国立社会保険院(INSS)の支払いだけで425億レアルは支出が増大する見込みと試算している。
報告書が「来年度支出は今年より390億レアルしか増やせない」とした根拠は、今年の支出1兆3010億レアルに対し、昨年成立した歳出上限法の、「支出はインフレ率以上に上げられない」との原則を適用したからだ。6月末の時点で、12カ月の累積インフレ率は3・0%となっている。
経済政策チームは、今年の税収が見込みより低かったことと、政府が設定した、赤字を1390億レアル以内に押さえるという財政目標を達成するために、今年実際に使われる予算は、予定を下回るとしている。
そうした今年の〃見込み〃予算節約分と、来年許される支出拡大の分を合わせると、今年実際に使われる支出と、来年の支出の差額は800億レアルになる。
しかしながら、INSS以外にも、高齢者・身障者恩給(BPC)や年金の支払い額は合わせて148億レアル増えるとされ、公務員の給与調整でも支出は122億レアル増加する見込みだ。
ペスターナ下議は、「新しい法案や暫定令などは必ず予算を伴う。来年はそれらの行為は全て、他の予算を削る行為とセットで行われなければならない」と語り、支出を拡大させるための唯一の方法は、政府が他部門の支出を削ることだけとしている。
同下議はまた、「18年LDO最終報告書は、財政状況は悲劇的で、投資に回せる余裕などまったくないという現状を映しだしている。増税への議論はまだ本格化していないが、しかるべき措置については検討中だ。去年、憲法改正までして定めた上限内に支出を収める法を固守し、予算縮小や経費削減に務めても、来年の基礎的財政収支は1290億レアルの赤字となる見込みだ。予算上は多くの困難が伴うことが明らかだが、公的赤字縮小への努力は欠かせない」と語った。