【既報関連】12日にルーラ元大統領が9年6カ月の実刑判決を受けたことはブラジルに激震を与えた。今回の判決により、ルーラ氏が希望する18年大統領選出馬や今後の裁判はどうなるかについて13日付現地紙が報じている。
ルーラ氏の控訴審(2審)は、リオ・グランデ・ド・スル(RS)州ポルト・アレグレの第4連邦地域裁(TRF4)で行われることになる。TRF4は、ブラジル南部のパラナ州、サンタカタリーナ州、RS州の裁判所を統括している。
パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事は、12日の判決で、ルーラ氏が公職へ就くことを向こう19年間禁じたが、それが確定するのはTRF4での判決次第だ。
TRF4はジョアン・ペドロ・ジェブラン・ネット報告官、レアンドロ・パウルセン、ヴィットル・ルイス・ドス・サントス・ラウス両書記官の計3人の判事で判決が行われる。ここで有罪となれば、複数の裁判官による裁判で有罪となった場合は刑期終了から8年後までの出馬を禁じるフィッシャ・リンパ法により、出馬不能となる。
ただし、控訴審で有罪となっても、高等裁や最高裁には上告が可能だ。ルーラ氏が上告と共に、控訴審の判決を一時差し止める暫定令を獲得すれば、出馬は可能となる。
ただ、今回問題となるのは、控訴審がいつ行われるかだ。控訴審が行われるのは最速で半年後、来年の1月18日だが、これまでの初審から控訴審までの時間の平均は1年4カ月だ。その平均値をとって控訴審の実施日を計算すると、18年11月18日となる。つまり既に選挙は終了しており、当選者が19年1月19日の着任成立日を待つタイミングだ。
一方、大統領選出馬の登録開始日である18年7月18日までに裁判が行われ、実刑判決を受けても、上告の上、判決差し止めの暫定令を獲得すれば、ルーラ氏は出馬できる。
また、出馬登録後に控訴審が行われ、有罪となれば、出馬登録は無効となるが、この場合も上告の上、暫定令を獲得すれば、選挙戦を戦える。
ルーラ氏が10月の大統領選に勝利したが、着任前までに控訴審での有罪判決が下ったという場合は、代わりの大統領を選ぶ補選が行われることになる。ルーラ氏が当選し、控訴審前に就任した場合は、最高裁がルーラ氏を裁くことになる。
ちなみに、ルーラ氏は今回のサンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅を介した収賄の件以外に、4件の刑事裁判(アッソン・ペナル)で被告となっている。「ペトロブラス国際部元部長ネストル・セルヴェロー被告の口止め(捜査妨害)」「アンゴラでのオデブレヒト社の事業での社会経済開発銀行(BNDES)の不正融資」「スウェーデンの航空機購入での圧力」の3件は連邦直轄区地裁第10法廷、「ルーラ研究所の敷地の不正購入」の件はクリチーバで扱う。
ルーラ氏はサンパウロ州アチバイアの農園の不正購入の件でも起訴されており、裁判が実施される場合はモロ判事の対応となる。