ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | サンパウロ市でタイヤ泥棒が多発=発生は東部中心、少しの油断が命取りに

サンパウロ市でタイヤ泥棒が多発=発生は東部中心、少しの油断が命取りに

 公務員のタニア・ストッコさん(53)は家を出ようとして、タイヤを全て盗まれ、床にはいつくばった形になった自分の車を見た瞬間を、「全く形容しがたい気持ちがした」と振り返り、「こんな目に遭うなんて誰が信じられる?」と語っている。
 サンパウロ市警の調査によると、3月から5月までの間にサンパウロ市東部ではタイヤの盗難が168件も発生した。ほぼ1日に2件のペースだ。
 このデータには、さらに頻発している、予備タイヤの盗難は含まれていない。
 車から、二つないしは四つのタイヤを盗むというこの種の犯罪は、サンパウロ市内の他の地域でも発生してはいるが、警察は、特に東部で多いとし、タイヤ泥棒を繰り返しているグループがいると見て捜査している。
 被害者が車を発見した時、車はジャッキや角材で持ち上げられているか、そうでなければ、路上にそのまま捨て置かれている。
 被害者の中には解決の見込みなどないと諦めて、通報しないケースもあるという。
 「被害届を出そうとしたら、ほぼ1日待たされた。でも被害届を出さないわけにはいかなかった。タイヤが返ってくるなんて思っていない。でも届けをださないと、何の犯罪も起きなかったことになる。犯罪は確かにあった」とタニアさんは語る。
 アナ・マリア・マルシーニさん(58)も、サンパウロ東部のタトゥアペ地区で車のタイヤを盗まれた。「『雷は同じ所に2回も落ちないように、同じ不幸に2回も遭わない』なんていうけれど、それは嘘。私が去年の10月にタイヤを盗まれ、息子が12月に被害に遭った」と嘆く。
 アナ・マリアさんと同じく、タイヤを盗まれ、買い換えるのに約1万レアルもかかった息子のブルーノさんも、母と同様に被害届は出していない。「バールで友達とちょっとしたパーティーをしていたら、『かわいそうにあのCivic。タイヤがとられちゃって…』と話すのを聞いて、慌てて戻ってみたら、案の定、盗られたのは自分の車、ジャッキで持ち上げられていたよ」と振り返った。
 警察の調べではタイヤ泥棒は多くの場合、夜、起きている。警察は、車の部品は高く転売できる上、量刑も最大で4年の禁固(最大の刑が科される事はほとんどない)と軽く、投獄の可能性が低いために多発していると見ている。(14日付フォーリャ紙より)