ブラジルは世界有数の穀物生産国だが、内陸部で収穫された穀物を港まで運ぶためのインフラ設備が著しく脆弱だ。これを受け、米国の穀物メジャーなどが立てた、ブラジル中西部マット・グロッソ州の一大穀倉地帯でとれた大豆を北部に運ぶための鉄道敷設計画に、国内外の企業や投資家グループが興味を示していると17日付現地紙が報じた。
ADMやブンゲ、カーギルなどの穀物メジャーが立案したブラジル北部への鉄道敷設計画は、フェログランと呼ばれる。コーザングループの鉄道会社RumoALLも、マット・グロッソ州内の線をロンドノ・ポリス市からソリーゾ市まで600キロ延長することを計画している。
現在、ブラジル中西部でとれた穀物を北部に運搬する手段は国道163号線のみだが、同道は問題が山積している。200キロにわたる区間は舗装されておらず、収穫期に起こるぬかるみがトラックの運行を阻害して生じる、積荷の遅延や農産物の損失による被害は甚大だ。
フェログラン計画は、マット・グロッソ州シノプ市と、アマゾン川の河川港があるパラー州サンタレン市を結ぶ鉄道計画で、126億レアル規模の経費がかかるが、完成した暁には、輸送コストが半分になるという。
官民合同投資パートナーシップ計画局のタルシジオ・フレイタス氏は、「フェログラン計画の成功は、計画に参画する株主(企業)にかかっている」と語った。同氏によれば、政府が社会経済開発銀行(BNDES)を通した融資を決め、フェログラン計画が環境許可を得た際は、優先的に民間委託計画が進められるよう便宜が図られるという。
カーギル社コモディティ部長のパウロ・ソウザ氏は、各社が株主として主体的に参画するか、一歩引いた立場からの協力に留まるかを決めるのは、政府の示す参画条件次第だと述べた。中国系投資ファンドや国外投資家グループも、フェログラン計画への興味を隠していない。
BNDESの輸送部門統括者のルシエーニ・マシャド氏は、「必要な投資規模が桁違いで、建設後の運営権も委譲されるフェログラン計画は、ただの鉄道敷設計画ではない」と語り、建設に伴うリスクや保証金の支払に関するシミュレーション、運搬可能重量の算定などの作業を進めているとした。「ブラジルの農業の国際競争力向上」を期待させるフェログラン計画の入札は、現状の政治危機、経済危機にも関わらず、日程が維持されている。