中央銀行は19日、ルーラ元大統領の銀行口座にあった60万レアル余を差し押さえる処分を行った。この措置は、サンパウロ州グアルジャーの三層住宅を巡る裁判でパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事が下した命令の一部だ。20日付現地紙が報じている。
中央銀行が差し押さえた口座の残額の総額は60万6727・12レアルで、内訳は、ブラジル銀行39万7636・09レアル、連邦貯蓄銀行(CAIXA)12万3831・05レアル、ブラデスコ銀行6万3702・54レアル、イタウ銀行2万1557レアルとなっている。
これはパラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事が下した判断に基づく措置だった。モロ判事は1千万レを限度とする差し押さえを中銀に求め、さらにサンパウロ大都市圏サンベルナルド・ド・カンポにあるルーラ氏のアパート3軒と土地1カ所、車2台の没収も命じた。
モロ判事は12日にサンパウロ州グアルジャーの高級三層住宅を媒介した収賄の疑惑でルーラ氏に9年6カ月の実刑判決を下したが、贈賄者とされた建設大手のOASは労働者党(PT)との間で使った口座で1600万レアルを動かしていたとされる。
今回の命令は、パラナ州クリチーバの連邦検察のラヴァ・ジャット作戦(LJ)チームからの請求を受け、この1600万レアルを回収するための方策との一部として出された。モロ判事は、判決後に検察とルーラ氏双方の申し立てを受けており、14日に銀行口座の差し押さえや資産没収を決めた。18日には三層住宅の没収も発表している。
検察側は当初、ルーラ氏と今年2月に亡くなった故マリーザ夫人の資産として、1億9520万レアルの差し押さえを要請した。検察側は、ルーラ氏は私服を肥やすために公金を違法に送金させる計画を指揮したと訴えていた。
モロ判事は当初、ルーラ氏に対し、三層住宅没収と1600万レアルの罰金を考えていたが、後に、三層住宅の時価を引いた1374万7628レアルに減額した上、更に1千万レアルに減額した。
判決文の中でモロ判事は、「口座凍結や没収は国が被った損害の補償」とし、ペトロブラスの事業を巡るカルテルや贈収賄工作が横行した2004~14年の大半の大統領がルーラ氏であったことも指摘した。
中銀がモロ判事の命令を実行したことを明らかにした後、労働者党(PT)は遺憾の意を表明した。PTはその声明文で「モロ判事はルーラ氏を経済的に窮地に陥れようとしている」と怒りをあらわにした。
PTや労組は、20日午後5時にサンパウロ市パウリスタ大通りなど、全国各地で、この命令に対する抗議やテメル大統領解任を要請する抗議活動を行った。
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