ホーム | コラム | 特別寄稿 | メキシコ榎本植民地120周年=「夏草やつわ者どもの夢の跡」=日本人墓地に漂う移民の儚さ=元日本国際開発機構中南米担当専門家 野澤弘司

メキシコ榎本植民地120周年=「夏草やつわ者どもの夢の跡」=日本人墓地に漂う移民の儚さ=元日本国際開発機構中南米担当専門家 野澤弘司

アカコヤグア村民一同の謹製による歓迎幕と村の発展に貢献された人々の遺影

アカコヤグア村民一同の謹製による歓迎幕と村の発展に貢献された人々の遺影

 私は昨年3月、メキシコの国立シャピンゴ大学が主催したラテンアメリカ・ステヴィア生産者シンポジウムに招聘され、天然甘味料ステヴィアのラテンアメリカに於ける栽培史と社会、経済、環境に及ぼす貢献について講演し、ブラジルへの帰途、日頃興味を抱いていたメキシコとグアテマラの国境に設置されたラテンアメリカ最初の日本人移住地である榎本植民地を訪問しました。
 現地の方々の昔日を偲ばせる人情味溢れるおもてなしと、見聞するほどに榎本植民地の方々がたどった数奇な史実に魅了され、いつのまにか再訪を心しました。
 はからずも本年5月、中米のニカラグア農牧賞から油糧植物サチャインチの栽培指導を依頼されました。その日程が私の訪日予定と前後したので、私はこの機に便乗して念願の榎本植民地を再訪し、更にはブラジル移民より11年も早く入植した、「榎本植民地の創立120周年記念祝賀会」に参会できた幸運に恵まれました。
 榎本植民地創立120周年記念式典は、5月18日から3日間、榎本植民団の第一陣が上陸したタパチュラと、さらに北東へ120キロの榎本植民地発祥の地・アカコヤグアに於いて、山田彰駐メキシコ全権大使(当時、8月から駐ブラジル大使に)、武井俊輔外務大臣政務官、JICA所長、日系社会や進出企業の来賓多数が首都や遠隔の地から参会され、現地の皆さんと共に記念祭典一色に包まれ盛大に挙行されました。
 1897年、青年移民35人の榎本植民地入植に端を発したメキシコ移民が、艱難辛苦を克服して今日の繁栄に至った足跡については、一昨年ブラジル日本都道府県人会連合会が実施した高齢の移民ふるさと巡りの舞台がメキシコであったため、榎本植民地訪問紀行が当地邦字紙にも克明に掲載されました。
 また、グーグルでの榎本植民地関連のサイトには、すこぶる広域に及んだ内容の濃い興味溢れる史実と数々の研究成果が網羅されています。よって、この度の寄稿は、祝典の状況写真と添付したコメントの範囲と致します。(掲載写真の一部は、マサトラン在住の吉井勉氏より協力を頂きました)

メキシコ榎本植民地設立120周年記念式典写真グラフ