【既報関連】ブラジル中銀の通貨政策委員会(Copom)が25、26日に開催され、経済基本金利(Selic)を、前回5月末に決められた年利10・25%から、1%ポイント(%P)下げて、年利9・25%に改めたと26日付現地各紙が報じている。
今回の利下げは、昨年10月以降、7回連続だ。Selicが一ケタ台になるのは、ジウマ政権期の13年8月以来のこととなる。
今回の決定は、大方の市場関係者も予想していたものだった。1%Pの利下げはこれで3回連続となり、中銀は、政治、経済情勢が許す限り、大幅利下げを続ける姿勢を示したといえる。
ブラジルは今、低インフレで、分野別ではデフレを表す数値さえも出る情勢だ。しかし、議会の混乱で、経済建て直しに不可欠な財政改革が難航しているため、利下げペースは鈍化するのではないかと予想していた市場関係者には驚きとなった。
投資顧問銀行のバンコ・パインのエコノミスト、マルコ・カルーゾ氏は、低いインフレ率を鑑み、Selicを年利7・25%まで下げられると中銀は考えているだろうとの所見を述べた。年利7・25%は2012年末から13年始めまで続いた、Selicの最低値だ。
Copomは、今年の広範囲消費者物価指数(インフレ率・IPCA)の予想を3・8%から3・6%に変更し、来年の予想を4・5%から4・3%に変更した。中銀のインフレ目標は2018年まで、4・5%で据え置かれている。
投資顧問会社、キャピタル・エコノミックス(CE)社のエコノミスト、ネイル・シェアリング氏は、「テメル政権が直面している政治危機は、経済の先行きに対するCopomの見方を大きく変えさせるに至っていない」とした。Copomは年内にあと3回開かれるが、CE社は、年末時点でのSelicは8%になると見ている。
Selic引き下げの理由の一つは、インフレが抑制されていることだが、景気の回復が遅れていることも、引き下げ要因の一つといえる。
景気低迷は、雇用回復の遅れや、政府の税収の伸び悩みにも繋がっている。政府は今年の基礎的収支を1390億レアル以内の赤字に収めるという財政目標を達成するために、増税や予算の切り詰め、人件費削減、果ては財政目標そのものの見直しさえも視野に入れ、議論を進めている。
人件費削減策として、政府は国家公務員の希望退職計画を(PDV)を導入したり、来年の公務員の給与調整延期を検討し始めたりしている。
また、政府による支出削減は各省庁に対して均一に行われるわけではない。今回の支出削減の影響が最も大きいのは、運輸・港湾・民間航空省と自治省、国家統合省で、ミーニャ・カーザ・ミーニャ・ヴィダやサンフランシスコ川の疎水工事などもその対象とされる。