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ベネズエラ=新憲法作成巡り国が混乱=議会を無視した一方的立法=野党と民衆は徹底抗戦に

27日のマドゥーロ大統領(Presidencia da Venezuela)

27日のマドゥーロ大統領(Presidencia da Venezuela)

 30日に行われる予定の制憲議会議員選挙を前に、ベネズエラが揺れている。反対派は26、27日に48時間ストを行い、28日も全国規模のデモを呼びかけたが、マドゥーロ大統領は、28日以降、選挙妨害のための活動を行う者に5~10年の刑を科すと宣言するなど、激しい混乱状態となっている。28日付ブラジル国内紙が報じている。
 制憲議会は憲法草案作成のための機関で、三権を上回る権力が保障される。1999年の憲法改正時は国民投票で設置を選ばせたが、今回は国民投票もなく、反対派が違憲と主張。16日に行われた同議会設置の是非を問う国民投票には720万人が参加した。
 ベネズエラでは、15年12月の選挙で、野党側がマドゥーロ大統領の統一社会党に2倍以上の差をつけて圧勝した。
 だが、大統領の議会妨害は続き、法案を作っても体制派判事が多い最高裁がことごとく却下。今年3月には議会の立法権が止められ、議員の法的特権も剥奪など、実質的な独裁状態になった。そんな中で宣言されたのが制憲議会の設置と30日の議員選挙だ。
 野党側は、与党一色の制憲議会が発足すれば議会は閉鎖され、マドゥーロ氏の独裁が確立すると懸念。16日の国民投票に続き、26、27日に48時間のゼネストを敢行したが、ゼネスト中も少なくとも5人が死亡するなど、国内は緊迫した状態が続いている。
 こんな中、マドゥーロ大統領は27日に、選挙を妨害するような抗議行動や集会を行った者は5~10年の実刑を科すと威嚇。その直後、野党側に「平和のための対話の席」に着くよう求めた。だが、その一方で、呼びかけに応じなければ強制的に対話の席に着かせる権限を制憲議会に与える意向も表明した。
 これに対し、野党最大党の民主党統一会議(MUD)は、ツイッターでマドゥーロ大統領に断固反対する意思を表明。MUD指導者のエンリケ・カプリレス氏も「28日のデモ行進は首都カラカスだけでなく、全国で行う」と明言した。
 ベネズエラに対しては国連もかねてから注意勧告を行っており、27日も抗議行動を行う権利を保障するよう求めた。また、米国のトランプ大統領は、マドゥーロ大統領が憲法改正を強行するなら厳しい経済制裁を課すと明言している。
 テメル政権は、ベネズエラのメルコスル参加資格停止を支持し、米州機構に参加する12カ国と共に選挙中止を求める書簡を送付するなどして、マドゥーロ政権を牽制しているが、労働者党(PT)は支持する声明を出している。