【既報関連】国が二分する大混乱の中、7月30日、ベネズエラで新憲法作成のための制憲議会議員選挙が行われた。抗議活動により、少なくとも100人近い逮捕者と10人の死者が出た上に、公式投票率も41・53%と低調なものだったと7月31日付ブラジル現地紙が報じている。
野党中心の議会の立法権を3月に停止させ、さらに4月以降の抗議活動での反体制派側の死者が100人を超えていることなどもあり、今回の制憲議会議員選挙はかねてから、同国内外で波紋を呼んでいた。
野党側は7月に制憲議会議員選挙の是非を問う非公式な国民投票を行っており、700万人以上が投票に参加した。また、世論調査では70%の人たちが今回の選挙に反対していた。
ニコラス・マドゥーロ大統領側は7月27日、選挙に影響を及ぼすような抗議活動を行った人を5~10年の懲役刑に処すと脅しをかけたが、それにもかかわらず、7月29~30日は多くの国民が街に繰り出し、抗議運動が頻発。首都カラカスや西部のマラカイボ、東部のプエルト・オルダスといった都市では、警備側がバリケードを組んで運動を阻止しようとする光景が見られ、ゴム弾や催涙ガス弾の煙、ところによっては炎があがるところも見られた。
この2日間で反体制派96人が逮捕され、死者も10人出たと報じられている。
体制派と反体制派との間の緊迫感は、選挙に出馬したマドゥーロ大統領夫人のシリア・フローレス氏が夫と共にカラカスの路上で演説をしている際に、激しい罵声が飛び、シリア氏が感情的に言い返す場面などからもうかがわれた。
こうした混乱の中で行われた選挙には800万人余りが参加。投票率は41・53%というが、同国選挙の平均投票率は70%で、前回選挙ではチャベス派の票田のカラカスの投票所に長い列ができたのと比べると、かなり低い数字だ。今回はカラカスの投票所は閑古鳥が鳴くような状況で、野党側は「実際に投票したのは国民の12%」と反論している。
野党最大党の民主党統一会議(MUD)は選挙ボイコットを呼びかけており、野党リーダーのレオポルド・ロペス氏は、他国政府に今回の選挙結果と制憲議会を無視するよう働きかけている。
米国はベ国が制憲議会選挙を実行すれば同国に重い経済制裁を加えると宣言済みで、ブラジルのアロイージオ・ヌーネス外相も選挙結果を無視する意向を表明している。