【既報関連】これまで、再三にわたり「今年の年間基礎的収支赤字を1390億レアル以内に抑える」という財政目標は必ず守ると公言し、そのために増税や予算引き締め、国家公務員の自主退職制度導入まで行ってきたブラジル政府が、遂に財政目標のハードルを下げることも検討し始めた。
1日付現地紙は、エンリケ・メイレレス財相が、財務省などが財政目標見直し作業を始めたことを認めたと報じた。一部報道では、赤字額の上限は昨年実績と同じ1590億5千万レアルで、最大200億5千万レアルまでの見直しが行われる可能性があるという。
メイレレス財相は、経済政策チームに、2018年予算案提出期限の8月31日までに、この件に関する決断を下すと伝えた。現時点での18年の基礎的財政収支の目標は1290億レアル以内の赤字だが、今年の財政目標見直しとなれば、来年の目標変更も必至だ。
経済政策チーム関係者は、財政目標見直しの可能性は強いが、16年に記録した1590億5千万レアルを超える事は有り得ないとの見方を示した。
財務省は、今年の財政目標をクリアするために導入した計450億レアル規模の予算削減を強行すれば、通常の行政サービス執行にも支障をきたす事を危惧している。
現状では、390億レアルの支出削減の段階で既に、連邦警察や連邦道路警察から「パスポート発行が出来ない」、「国道のパトロールもままならない」とのクレームが出ており、もはや財政目標達成のための努力も限界に達しつつある。
政府は現在、予算作成時に想定した税収額を見込める程度まで経済が回復しそうかを判断するため、7月の国庫収入の分析結果が出るのを待っている。
メイレレス財相は、空港の経営権委譲の保証金や、連邦貯蓄銀行(CAIXA)が行っていたくじ運営権の民間委託の保証金などが、基礎的財政収支健全化の一助となるとし、「(景気好転による)年内の税収改善も信じている」と語った。
政府はまた、税収増を図るため、これまでは免除されてきた、個人投資家が農業信用証券(LCA)や不動産信用証券(LCI)への投資で得た利益への課税も検討し始めている。
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