7月29日にアメリカのカリフォルニア州のアナハイム・ホンダセンターで行われた総合格闘技のUFC(アルティメット・ファイト・クラブ)214の女子フェザー級で、ブラジルのクリス・サイボーグが新女王になった。
この日、クリスはトーニャ・エヴィンジャー(アメリカ)と対戦。序盤から試合を優位に進めていたクリスは、第3ラウンドに右パンチとキックで相手を追い込み、左ひざ蹴りでダウンを奪うと、その時点でTKO。新女王となった。
クリスはかねてから、「陰の最強女王」と呼ばれていた実力派だ。元はハンドボール選手だった変り種で、総合格闘技に進出後、2005年のデビュー戦で敗れたが、それ以降は現在まで負けなし。2015年まではスカイフォース、インヴィクタといった団体で15連勝した。内13戦はTKO勝ち(1引分)だ。この時点から、最高峰の団体UFCで当時無敵を誇ったロンダ・ラウジー(アメリカ)を止められるのは彼女しかいないのでは、とも言われていた。
結局クリスは、ラウジーが15年11月に王座を失った後、16年になってようやくUFCに移籍。そこでも順調に2つのTKO勝ちを収め、今回のタイトル戦へと進んだ。
クリスが戦った女子フェザー級は今年の2月に創設されたばかりのもので、ジャーメイン・デ・ランダミー(ドイツ)が世界王者についていた。しかし、彼女がクリスとの対戦を恐れて拒否したために、王座剥奪となった。この事実から、いかにクリスが恐れられていた存在だったのかがわかる。
クリスの戦績はこれで、20戦18勝1敗1分で、18勝中16勝はTKOだ。
これでUFCの女子では、バンタム級のアマンダ・ヌーネスと共に、ブラジル人女王が2人君臨することとなった。アマンダも昨年、王者返り咲きを狙ったラウジーをTKOで返り討ちにするなどかなりの実力派だが、アマンダは体重を増量して階級を変えてのクリストとの対戦の可能性を聞かれた際、「彼女が女王であるのを見たいから」と言い、否定している。(7月31日付アゴーラ紙などより)