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 テメル大統領の告発受け入れに関する連邦下院議会での投票が2日に行われた。日系下議4人の投票は次の通り。飯星ワルテル氏(社会民主党、PSD)、西森ルイス氏(共和党、PR)、高山ヒデカズ氏(キリスト教社会党、PSC)の3氏は、テメル告発お蔵入りを意味する「Sim」に投票した。太田慶子氏(ブラジル社会党、PSB)のみが告発の審議継続を指示する「Nao」に入れた。これはどちらも「党が決めた方針に従った」という形。ちなみに太田下議のPSBは、JBSショック後の与党離脱した党で、それまでは連立与党だった。来年に向けてどちらの立場が有権者により支持されるのか、だんだん明らかになりそう。首を洗って待っていた方が良いのはどっち?
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 俳誌『朝蔭』453号が7月に刊行された。《ペオン等の良夜のバイレ夜を徹し》(笹谷蘭峯)は牧場が多いドイス・イルモンス在住者らしい牛飼いの若者の姿を詠んだもの。《拓魂碑拝して侍る移民祭》(纐纈俊夫)は古い入植地プレジデンテ・プルデンテらしい作品。碑の前で畏まった様子がよく伝わる。《浮ポスト海豚が跳んでよき日和》(東比呂)もマナウス在住者らしいアマゾン河の風景。《養鶏業今日はお休み運動会》(鈴木昌子)も年中無休のはずの「卵の都」バストスにおける知られざる休日を詠んだ。《ブラジルや市長も法被で盆踊》(庄司よし子)からはブラジル人市長も盆踊では法被を着て、日系人と一緒に踊っていることが伺える。日系大集団地ロンドリーナらしい作品。
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 俳誌『朝蔭』453号にあった《マリア月乙女峠へ巡礼者》(伊藤きみ子)という句を読んで、「マリア月」はいつかと調べたら5月だと分かった。続いて「乙女峠」も調べると実は有名な場所だった。キリスト教を禁じた江戸幕府が倒れたことで、長崎県浦上で隠れキリシタンが1865年「サンタマリアの御像はどこ」と名乗り出た。ところが明治政府も「浦上四番崩れ」と呼ばれる弾圧を始め、3400人もが流罪の刑を受けた。20カ所の拷問地の一つが島根県津和野町にある乙女峠で、殉教者の遺骨がまとめて埋められた。第2次大戦後、乙女峠に記念聖堂が建てられ、5月3日に乙女峠まつりを始まり、巡礼者によって聖母マリアと共に殉教者を讃えるお祝いになったという。そんな句がカトリック大国ブラジルで俳句に詠まれるというのは、どこか感慨深い。