実現すればおよそ半世紀振りとなる皇族ご来訪への期待がノロエステ沿線で高まるなか、アラサツーバ日伯文化協会会館で6日、ノロエステ連合日伯文化協会の臨時総会開催された。サンパウロ市からブラジル日本移民110周年記念祭典委員会の菊地義治実行委員長が出席し、地方と一体となって祝賀行事を行う方針を鮮明に打ち出した。
菊地委員長の訪問に併せて召集された臨時総会では、連合傘下の33団体代表者ら約40人のほか、飯星ワルテル連邦下議、小野ジャミール元アンドラジーナ市長、斉藤マルシオアラサツーバ市議らが出席した。
菊地実行委員長は、委員会の組織や資金集め状況、県連日本祭り会場での記念式典及び国士舘再開発事業等について、詳細に説明を行った。
来月にも計画する110周年記念リッファでは、協力販売した額の10~15%を還元し、地方祭典の原資としてもらう考えを明らかにし、「販売を通じた広報活動によって、祭典への機運を高めていきたい」と協力を求めた。
記念式典が行われる県連日本祭りについては、「地方からも多くの参加をお願いしたい。盆踊りなど団体での参加については、バスの交通費等の手当てもしていければ」と語った。
皇族ご来訪については、「皇室は移民への強い想いを持っていらっしゃる。三笠宮さま以来お立ち寄りにはなっていない〃移民の故郷〃ノロエステに、ぜひとも来て頂けるよう、皆で力を合わせてお願いしてゆく」と強調した。
サンパウロ市の祭典委員会からの協力申し出に対し、「菊地さんのような素晴らしい人が実行委員長に立って頂き、大変誇りに思う」と称賛の声が相次いた。和やかな雰囲気のなか質疑応答に。
白石一資同連合名誉会長は、「ノロエステの功労者を招待し、皇室の方から声をかけて頂くことができないか」と提案。菊地委員長は「皇室の方は人情味がある。皆さんの思いが通るよう努力してゆく」と語った。
出席者からは110周年を機に、ノロエステ日系社会をいかに発展させてゆくべきかという決意表明が口々に語られた。
プロミッソン日伯文化体育協会の岡地建宣会長は「今は家庭で日本語での会話が困難になり、日本精神も薄れている」と危機感を募らせ、「三世が60、70代。責任者である我々が力を合わせ、立派な祝典を開き、上塚周平翁の精神をいつまでも引継いでいかねば」と決意を新たにした。勝負抗争から分立してきた日系文化運動連盟との統合の話合いも現在進められているという。
小野元市長からは「連合傘下団体が今後、会館をどう維持してゆくかは共通の課題」と語り、「マリリアなどクラブ活動を中心に発展している地域もある。これを機に、皆で議論してゆきたい」との意見も出た。
菊地委員長は、県連副会長時代に始めた日本祭りで活気を帯びてきた県人会活動を例に、「あの時も当初は反対を受けた。世のために新しい考えを持って進んでいけばやがて大きな力になる」と熱っぽく語り、「皇室の方を見て感激する爺ちゃんの姿は、子や孫の心に残り、それが活性化への原動力になる。そんな気持ちを持って皆で最大限努力していきましょう」と語りかけた。(つづく、大澤航平記者)
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援協会長時代から築いてきた信頼関係を活かして資金集めに日々奔走している菊地委員長。今月末にも再訪日して複数の都道府県を廻り、来年の記念式典への参加や日本祭りへの協力などを求めてゆく。来月からの110周年リッファは3万枚を販売する予定。トヨタ自動車からはなんとプリウス、本田技術研究所からもシビックなどの高級車が寄贈されており、これまでにない豪華な景品となりそう。来年には、本田から自動車、スクーター、発電機が提供され第2弾リッファも行われるという。一枚30レアルから。一人一人が小額でもお金を出し合い、来年の110周年を皆が一体となって作り上げていきたいところ。