リオ州の治安悪化がいわれて久しいが、リオ市とその周辺部(リオ大都市圏)では、1~6月に起きた銃撃戦で死んだ人が742人いたと8日付現地紙サイトが報じた。
この数字はフォーゴ・クルザードという情報サイトが集計したもので、昨年の下半期は539人だった銃撃戦による死者が37%増えている。
7日付ニュースサイトによると、フォーゴ・クルザードは、ジェツリオ・ヴァルガス財団の公共政策分析局の協力も得て運営されている。同サイトでは、一般市民も含めた情報提供者が流す「○○に警察の防弾車が来ている」とか「○○のファヴェーラで銃撃戦発生」といった情報を、重複していないかなどの分析を加えた上で掲載し、質の高い情報を皆で共有できるようにしている。
フォーゴ・クルザードの利用者は約10万人いる。利用者達はいつどこで銃撃戦が起きているかをほとんどリアルタイムで把握できるため、通勤や通学に支障が出ないか、いつもの経路は使えるかといった判断を下す事が容易になる。
同サイトに寄せられた情報によれば、リオ大都市圏では、この1年間で5166件の銃撃戦が起きている。今年上半期は1日15件の銃撃戦が発生していた計算になり、発生件数上位10カ所の中には、シダーデ・デ・デウスやアレモン複合地区、ペーニャ複合地区のような、軍警の治安維持駐留部隊(UPP)が設置されている所が8カ所含まれているという。
同サイトの運営に協力する社会学者によれば、銃撃戦の発生数増加は、いわゆる周辺部だけの傾向ではなく、リオ大都市圏全体のものだという。
銃撃戦の発生数が増えれば、当然の事ながら、死傷者も増えるが、銃撃戦に巻き込まれる犠牲者の大半は、犯罪組織とは無関係の一般市民だ。
リオ市北部マンゲイラの丘に住むルイス・カルロス・アウヴェス氏は、76歳の母と42歳の妹を、犯罪組織と警察による銃撃戦で失った。犠牲者らは自宅前にいたが、状況証拠は鑑識前に改ざんされた上、銃撃戦の最中は危険との理由で鑑識も中止されたという。