昨年11月に71人の犠牲者を出す飛行機墜落事故に遭い、選手、監督、チームスタッフのほとんどを失ったシャペコエンセが、スベインの世界的名門サッカークラブ、FCバルセロナに招かれて、7日に親善試合を行った。
FCバルセロナは毎年、スペインリーグ開幕直前に国外のチームを招待して、ジョアン・ガンペール杯という親善試合を行っている。シャペコエンセには事故直後に同杯出場の打診があり、出場は早くから決まっていた。
ブラジルは全国選手権の最中だが、シャペコエンセはこの試合と、15日に日本で開催されるスルガ銀行杯に出場するため、13日の全国選手権を延期して参加した。
この試合はまた、事故に遭ったが奇跡的に命をとりとめ、復帰を目指してリハビリを続けていたアラン・ルシェルが、事故から252日後に出場した、初の対外試合としても注目を集めていた。
この事故では、ルシェル以外にも、フォルマンとネトの2人が命をとりとめたが、フォルマンは右脚を切断してプレーが出来ず、ネトはまだ試合が出来るほどには回復していなかったため、プレーはしなかった。試合は、フォルマンとネトがキックオフセレモニーを行って始まった。ルシェルは先発の11人に名を連ねた。
シャペコエンセの主力メンバーは前日の6日にクリチーバで全国選手権の試合があったため、控え組が数日前からバルセロナに入っていた。
FCバルセロナとの親善試合にはその控え組が中心に出場したため、両チームの実力差は大きく、試合も5―0とバルセロナの大勝に終わったが、観衆は勝ち負けや得点差にはこだわらず、事故から立ち直ろうとしているシャペコエンセへの励ましの拍手、声援を送り続けた。ルシェルが前半35分に交代でピッチを退いた際には、観衆から大歓声が上がった。
ルシェルは試合後、「あれから8カ月、もちろんまだまだ体調は万全じゃない。でも、こうしてFCバルセロナという世界最高レベルのチームとの試合で復帰の第一歩を記せた事は名誉な事。ここからはチーム内でのレギュラー争いが待っている」と語った。
試合前に、FCバルセロナのスター選手、メッシやスアレスと会話をした事について聞かれると、「素晴らしい経験だった。彼らはスターにも関わらず、とても謙虚な人柄で、人間性も彼らの手にしている栄光にふさわしい」と語り、交代時の気持ちを聞かれると、「ピッチにひざまずいて、ただただ、神に、そして事故で亡くなったチームメイトたちに、再びピッチに戻れた事への感謝の気持ちを捧げた」と締めくくった。
シャペコエンセはこの後、日本に向かい、15日に、スダメリカーナ杯優勝者(シャペコエンセ)と、Jリーグ、ルヴァン杯優勝者(浦和レッズ)が争うスルガ銀行杯を戦った後に、ブラジルに帰国する。(8日付ブラジル各紙、スポーツサイトより)