「世の為人の為に尽くすのが、明治の精神。世の中一人が変われば、社会も国も変わってゆく。移民の〃原点〃に立ち戻ろう」―。そんな菊地さんの言葉に、ノロエステ日系団体幹部も鼓舞されたようだった。
同地で明治の精神を今も体現するファミリーの一つが安永家だろう。長老・忠邦さんを大黒柱に夫婦兄弟互いに仲睦まじく、子孫は全伯各地の日系社会を支える活躍ぶり。世の為に尽くすという教育勅語を実践している家風ゆえか、訪れる者は心が洗われた気がする。
能を大成した世阿弥の金言に「初心忘るべからず」がある。即ち、どうやって試練を乗り越えたか、その経験を忘れるなという教えだ。艱難を乗り越えてきた移民史の〃原点〃にこそ、日系社会の将来を考えるヒントは隠されているはずだ。
単なる祭事でなく、移民の精神、子孫に伝えるべき志を掘り起こすような事業を企画し、サンパウロ州一体となって移民の紐帯の強さを見せて欲しい。(航)
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