下院の会派「セントロン」系列の政党が連邦政府に対し、大統領に忠誠を誓わない政党の大臣職を自分たちに譲るよう迫り、それが実現しない場合は税収で政府に大損害を被らせる行動に出ると脅しをかけていると、10日付現地紙が報じている。
エドゥアルド・クーニャ前下院議長が取りまとめた下院会派「セントロン」を構成する、進歩党(PP)、社会民主党(PSD)、共和党(PR)といった中規模政党は、2日の下院での全体投票で、テメル大統領への収賄容疑での告発を拒否する勢力として力を持った。
だが、その分、連邦政府への見返り要求は強くなっているとかねてから報じられていた。
彼らは、2日の投票で、党員45人のうち、約半数の22人が告発受け入れに賛成票を投じた民主社会党(PSDB)や、すでに連立を離れているのに大臣職は返上されていないブラジル社会党(PSB)の役職を欲しがっている。
たとえばPPは、PSBのアントニオ・カルロス・ヴァラダレス上議の息がかかった人物が総裁を務めている「サンフランシスコならびにパラナイーバ川流域開発公社」(CODEVASF)の指揮権を要請している。
また、PSDは、PSDBに現在権限がある都市相の座を欲しがり、さらにPRは、テメル大統領の民主運動党(PMDB)が長年保持し続けている港湾局長の座を望んでいる。
都市相の座は、テメル大統領のお膝元のPMDBも欲しがっている。
セントロンは、これらの願いが聞き入れられない場合は、社会保障制度改革を含む、財政調整関連の諸政策の審議に協力しない姿勢を打ち出しているという。
最初の交渉材料にされそうなのは、滞納税の回収計画(Refis)改正案の審議だ。
Refisは、これまで企業が支払いを滞らせていた納税を徴収するための計画で、政府側は130億レアルの収入増を見込んでいた。
だが、セントロン勢を含む下議らは、ニュートン・カルドーゾ・ジュニオル下議が提案した、企業側に恩恵を施すRefisの改正案を後押ししようとしている。それに従うと同計画による収入は10億レアルまで下がり、今年度の基礎的財政収支の赤字上限1390億レアルを固守する事はより困難になる。
テメル大統領の側近は同件に関し、「連立与党に対する大統領の姿勢は2日の投票前と変わらないだろう」との見方を示し、「閣僚人事はエリゼウ・パジーリャ官房長官の仕事だ」としている。
PPやPSDなどは、現政権が対話に応じない限り、社会保障制度改革は「次の大統領になってからの話だ」との態度を取りはじめており、ロドリゴ・マイア下院議長も「改革は容易ではない」と発言している。
社会保障制度改革は次期政権でとの声は、連立離脱を考えているPSDBやマイア議長の民主党(DEM)などからも出ているという。