中国政府が18日、ブラジル産の鶏肉に輸出ダンピング(不当廉売)の疑いがあるとして調査を開始したと、19日付現地紙が報じた。
不当廉売は、他国との競争に勝つために、商品価格を自国の市場価格よりも不当に低く設定して売るもので、中国国内の加工業者からの苦情を受けた同国政府が調査を開始する事を決めた。
中国は、サウジアラビアと日本に次ぐ、世界3位のブラジル産鶏肉の輸入国で、昨年は、ブラジル産鶏肉の輸出総額59億4600万ドル中、15%弱に及ぶ8億5950万ドル分を買い上げた。今年も既に、7月までで、輸出総額37億2300万ドル中、4億3840万ドル分の22万6500トンを輸入している。
中国はブラジルに対し、20日以内に質問に答えるよう要請しており、ブラジルからの回答を受け取った後に、世界貿易機関(WTO)に提訴するか否かを決めるという。本当にダンピングを行ったと判断された場合は、不当に設定した価格によって、中国国内の企業が受けた損失をカバーする意味の追徴金を課せられる可能性や、ブラジル産鶏肉の輸入停止といった措置がとられる可能性がある。
今回の動きに対し、ブラジル側の関係者は、ブラジルがダンピングを行ったという事実はなく、中国国内で保護貿易的な動きが出てきたのではないかとの見解を示している。しかし、これにより、中国がブラジル産の鶏肉の輸入を停止する可能性は低いとの見方が一般的なようだ。