国連の判事がブラジルに対し、4万人の国民殺害などの責任者とされるスリランカ大使の逮捕を求めている。29日付現地紙が報じている。
チリの独裁者だったピノチェト元大統領を告発した経験もある、国連の国際真相究明委員会代表のカルロス・カストレザーナ・フェルナンデス判事は28日、ブラジルの連邦検察庁国際関係局長のヴラジミール・アラス氏らと会合を開き、ブラジル連邦政府に対し、国際警察を通してスリランカ大使のジャガス・ジャヤスリヤ氏を逮捕するように要請した。
国連人権委員会の資料によると、ジャヤスリヤ氏は、スリランカで内乱が起きた2009年に軍の司令官を務めており、約4万人の国民が殺害された事件の責任者の一人だ。更に、囚人たちに対する拷問や強姦などの行為を指揮したとも見られている。
だが、ジャヤスリヤ氏はこの前日、既にブラジルを去って国外に出国していた。カストレザーナ氏は国際警察に改めて訴えるとしている。
ジャヤスリヤ氏は2015年8月にブラジル駐在のスリランカ大使に任命され、同年11月にブラジルに赴任。コロンビア、ペルー、アルゼンチン、チリ、スリナム大使も兼任していた。同氏はジウマ大統領(当時)に大使としての信任状を捧呈しており、27日に出国するまでブラジルで生活していた。