サンパウロ病院(HSP)、クリニカス病院、サンタカーザ・デ・ミゼリコルジア病院は、サンパウロ市でも有数の統一保健医療システム(SUS)の担当病院で、多くの医学生が学び、巣立っていく病院でもある。だが、これら3病院が昨年受け入れた入院患者総数は11年より2万人少なかったと29日付現地紙が報じた。
ブラジル保健省発表のSUS関連データによると、前述の3病院が16年に受け入れた入院患者の総数は、11年の11万3700人から17%(実数で2万人)減少し、9万3700人だった。
同じ期間にサンパウロ市の人口が2・9%増えた上、経済危機により、民間医療保険加入者が減り、SUSに頼らざるを得ない人口が増えたことを考慮に入れると、この結果はいっそう心配をかきたてる。
緊急ではない手術の減少や、資金不足や提供する医療サービスの内容の見直しなどによる手術の取り止め、または入院を必要としない方法への切り替えなどが、入院件数が減少した理由と考えられる。
入院患者の受け入れ件数減少が最も著しいのはサンタカーザ・デ・ミゼリコルジア病院で、11年の3万3千人が、16年には2万2700人に減少した。14年以来、同病院は深刻な経済危機に陥っており、累積した負債額は8億レアルを超えている。昨年からは、緊急ではない手術が無期限で延期されている。
サンパウロ州連邦大学傘下のHSPは、入院総数が2万5300人から2万2300人に減少した。HSPも財政危機が深刻化しており、この状況は今年、さらに悪化すると見られている。
HSPでは医薬品や基本的な医療器具を購入する資金も不足しており、今年4月以降、救急でない手術や入院を全て断っている。同院経営審議会はこの決定発表の折り、従来通りの活動を維持するには、連邦政府からの補助金を年1800万レアル増額する必要があるとの見解も示していた。
しかし、国からの補助は増えないため、HSPは7月に病床数を半減した。同院理事のジョゼ・フェラーロ氏は、「病床を減らし、清掃費や光熱費も節約して、今使える予算の範囲内でやっていくしかない」と語った。
サンパウロ総合大学(USP)医学部付属のクリニカス病院は、他の病院より入院患者の受け入れ減少の度合いが小さく、5万500人から4万8700人への3・5%減に止まった。同院によると、心臓病研究所(Incor)など、同院傘下の全ての医療機関で受け入れた入院患者数は逆に増えているという。