8月30日に世界貿易機構(WTO)が、ブラジルが行ってきた工業支援プログラム七つを国際貿易の原則に反していると判断した事で、外務省や商工開発省などが控訴する意向だと8月30、31日付現地紙・サイトが報じた。
WTOが不当とみなしたのは、自動車、情報処理、通信機器などの戦略的な分野への支援プログラムで、欧州や日本が13年から国際貿易の原則に反するとして訴えていたものだ。WTOは90日以内に全ての補助を撤回するよう命じた。
不当とされたプログラムの一例は、自動車産業保護策のイノヴァル・アウトだ。同政策では、国内生産車は国産部品を一定量以上使う事を定めた上、調査・開発に力を入れる企業への工業製品税(IPI)一部還元などの支援策をとっている。同プログラムによる今年の税収減は、5億9060万レとみられている。同政策は今年一杯で終了し、控訴などで、WTOの判決適用開始が遅れれば、影響は出ない。
情報処理関連機器の開発や生産、サービスに関する連邦税の減免税を定めたレイ・ダ・インフォルマチカ(情報処理法)も、国内産業保護策の一つとみなされた。今年の税収減は59億7560万レに上る見込みだ。
ディスプレイなどの製造部門支援策のPadisと、デジタルTV製造部門支援策のPATVDは、部品や部品製造用の機器購入時のIPIと、製品販売時の社会統合基金/社会保険融資納付金(PIS/Cofins)を免除する。Padisによる今年の免税額は1億5660万レの見込み。なお、PATVDは既に終了している。
デスクトップやタブレット、スマートフォンといった情報処理機器販売時のPIS/Cofins免税策(デジタル統合法)も、既に適用期間が終了した。
製品の半分以上を輸出する企業の部品購入や製品販売と、同条件で資本財を販売する企業へのIPIやPIS/Cofins免除を決めたPECとRecapも違法とされた。両プログラムによる免税額は非公開だ。
WTOが保護主義政策とみなしたプログラムによる再来年までの税減収額は210億レに上る。全国工業連合(CNI)は、WTOの判決の影響が大きいのは、自動車、電子電気機器、金属加工業、紙・セルロールの諸分野と見ている。外務省や商工開発省は既に控訴する準備に入っている。
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