ブラジル財務省財務局のデータによると、1~7月の税収は、予算作成時の税収予想を385億レアルも下回っており、基礎的財政収支目標の赤字上限額を1590億レアルに引き上げても目標達成が危うい状況だと1日付現地紙が報じた。
今年度と来年度の基礎的財政収支の目標を1590億レアルの赤字とする件は、来年度予算案提出期限である8月31日未明になっても変更動議の採決が終わらず、5日以降に先送りされたが、赤字上限を1590億レアルに引き上げる事を検討していた時、政府の経済スタッフは、今年の税収は今年度の予算より500億レアル少なくなると予想していた。
ところが、今年の税収は予想以上に伸び悩み、1~7月の税収不足(今年度予算に計上された税収に対する不足額)は既に、赤字上限を1590億レアルに引き上げた場合の年間不足予想額の80%に達している。
しかも、5月17日のJBSショックとそれに伴う大統領告発は、議会の審議日程も大幅に狂わせた。審議が遅れている項目には、社会保障制度改革案や、ジウマ政権で導入した、給与支払時の業種別減税措置の撤回、滞納税回収計画(Refis)の変更、ミナス・ジェライス電力公社(Cemig)の民営化計画承認など、財政状態改善のために準備された法案類も含まれている。
これらの法案類の審議の遅れや内容の大幅変更は、政府の経済スタッフの期待を裏切る方向で進んでおり、当初期待されただけの歳入増は望めなくなっている。
そういう意味では、経済活動の回復を示す数字が出始めているのに、議会が期待通りのペースで法案を審議していない事も、財政状態悪化を招くまたは状況改善を遅らせる一因となっている。
赤字上限を1390億レアルから1590億レアルに引き上げる件は、5日からの審議再開で、遅かれ早かれ、承認される見込みだが、差額の200億レアルの内の60億レアル分は7月の税収減などで既に食われてしまったという。
財政目標達成や予算案提出のため、政府の経済スタッフは最近、短期の収入増に躍起になっている。先週発表され、18年に70億レアルが入ってくると期待される、石油や天然ガス部門の開発区を巡る入札関連の暫定令(MP795号)なども短期の収入増に繋がるが、専門家の中からは、政府が中長期的な計画よりも短期計画に力を入れ始めた事を懸念する声も出始めているようだ。