ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》ジョエズレイの背後に元LJ検察官関与か=提出渋った録音に問題発言=テメルの反論通りの展開に=最高裁味方にしようと画策も

《ブラジル》ジョエズレイの背後に元LJ検察官関与か=提出渋った録音に問題発言=テメルの反論通りの展開に=最高裁味方にしようと画策も

渦中のジョエズレイ氏(Rovena Rosa/Agência Brasil)

渦中のジョエズレイ氏(Rovena Rosa/Agência Brasil)

 5月17日の「JBSショック」で世を震撼とさせた食肉大手J&Fグループのジョエズレイ・バチスタ氏所有の録音から、ラヴァ・ジャット作戦担当だった元検察官が同グループの報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)に関与した疑いがあることなどが判明し、デラソンが無効になる可能性が出てきた、5日付現地紙が報じている。

 連邦検察庁のロドリゴ・ジャノー長官は5日に会見を開き、「ジョエズレイ氏から提出された録音から重大な犯罪性のある証言が見つかった」と語り、J&Fグループとの司法取引を見直す可能性を示唆した。
 その録音というのは、ジョエズレイ氏が8月31日に提出したものだ。ジョエズレイ氏らは、5月に司法取引に関する書類に署名した際、8月31日までに証拠となる書類や物件を追加提出するよう命じられていた。問題の録音は、本人たちが無意識のうちに録音されたと見られる4時間のテープで、同グループの意向ではなかったが、検察庁の手に渡り、解析されることになった。
 録音されていたのは、3月17日にジョエズレイ氏と同社理事のリカルド・サウジ氏との間で交わされた会話だ。それによると、デラソンを行うにあたり、「検察庁内部で説得できる人間が必要だ」という話をした際に、サウジ氏が「マルセロがいるし、話はしてある」として、4月に同グループの顧問弁護士になった、ジャノー長官の元片腕でラヴァ・ジャットの検察官も務めたマルセロ・ミレール氏の名を出した。ジョエズレイ氏は、「ジャノーに届くには、マルセロをうまく使わなければ」とも語っている。この時点でのミレール氏はまだ検察庁に籍を置いている。
 ミレール氏の件は、JBSショックで疑惑がふりかかったテメル大統領が、「検察官がJ&Fの背後にいて司法取引するのは不正だ」と反論したが、ジャノー長官は「辞職後に関与しており、無関係」と否定していた。
 このテープでは更に、最高裁を味方につけたいとしたジョエズレイ氏に対し、サウジ氏が「マルセロ(・ミレール)に話したら『ゼーに当たれ。彼ならなんとかできる』と言われた」と語った。ゼーとは、ジウマ大統領時代の法相、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ氏のことだ。2人はカルドーゾ氏を味方につけたいと話していた。
 さらにこの会話の中では、最高裁のカルメン・ルシア長官や、リカルド・レヴァンドウスキーとジウマール・メンデスの2判事の名前も出てきた。当初、ブラジルのメディアは「この録音の中には最高裁判事の名も含まれている」とショッキングな報道の仕方をしていたが、いずれも犯罪に関与する形での登場の仕方ではなかった。
 ジャノー長官はミレール氏の関与も含めた詳細な調査を命じており、司法取引が無効化される可能性も示唆したが、これまでに提出された証拠は有効で、起訴は妨げないとも述べている。