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ゴイアス州での放射能汚染事件から30年

 ゴイアス州ゴイアニアで1987年9月13日、広島や長崎の原爆にも使われたセシウム137による放射線汚染を招く事件が起きた▼廃品業者が、既に使われなくなっていた放射線研究所からセシウム入りカプセルを詰めた鉛と金属の容器を持ち出したのだ。この容器は18日に古鉄屋が買い取り、解体。23日は「石が夜も光を放つぞ」と聞いた古鉄屋の兄弟が石を自宅に持ち帰ったが、セシウム汚染の最初の犠牲者が同家の娘レイデ(6歳)だった▼レイデの叔母は「父さんが持って来た光る石を見に来て」と言われて同家に行き、少女の父が、小石を乗せていた紙を少女の体にまとわせたりするのも見た▼叔母も子供達に見せようと石を自宅に持ち帰ったが、胸の上に石を落として負傷し、生後7カ月の娘に授乳出来なくなった。叔母の息子達は同日、レイデと遊ばなかったため、高度の放射能汚染を免れたが、長時間石と接したレイデは10月23日に亡くなった▼石に触れた人の異常に気づいた古鉄屋の妻が、州の衛生監督局にセシウムを持ち込んだ9月28日の時点では、249人が放射能に汚染され、129人は体内外から放射性物質が検出された。同市では4週間の間に4人が死に、49人が入院治療を受けた▼G1サイトは12日から、放射線を帯びた服や髪、土、車や家屋など、計6千トンをコンクリートで固めて地中に埋めた事などを特集で報じている。モデル志望だったレイデが汚染された髪を切る時、また生えてくるかと訊いた下りなどは実に切ない。セシウムの半減期は30年で汚染拡大の危険は減ったが、住民達は死と隣りあわせだった時の事を生涯忘れないだろう。(み)