模倣品を取締まる税関や警察など執行機関の職員を対象に、摘発の実践的な知識を提供することを目的として、経済産業省と日本貿易振興機構は、「真贋判定セミナー」を24日、サンパウロ市内ホテルで開催した。
ブラジル全国模倣品対策協会(ABCF)によれば、15年の模倣品による推定被害額はおよそ1千億レアルー。その被害は進出企業にも及び、取締まり強化に向けた要望を受け、11、12年に続け、今回3回目の開催となった。
JETROサンパウロの岡本正紀知的財産権部長は、「正当な企業活動を阻害し税収減に繋がるのみならず、粗悪品を使用した消費者に身体的経済的な損害を与える事例もある」との認識を示し、「今回参加している企業は優れた技術を持ち、ブラジルに貢献している企業ばかり」として摘発に向けた協力を求めた。
今回、参加した企業は、YKK、カネカ、本田技研工業、カシオ計算機、キャノンの5社。各々が自社製品の真正品と模倣品の判別方法を詳細に説明した。
カシオ電気は、「美的外観や材質などの見かけの違いのみならず、正規価格との大幅な違いも。流通も法人販売のみ」と特徴を説明。キャノンは、「製品パッケージに貼りつけている高度技術を採用したシールで判定できる」と模倣品対策を紹介した。
また、全社共通して注意を喚起したのが、税関での取締まりだ。「輸出入はグループ企業間を通じてのみ。そうでないルートの場合は模倣品だ」と水際対策の重要性を呼びかけた。
ABCFの調査によれば、模倣品の65%はアジア特に中国から入ってきているという。近年は、ブラジルや巴国産の模倣品も増加しており、部品や本体を輸入し当地でダミーのロゴをつけ販売される事例もあるという。
岡本部長は、「見えているのは氷山の一角。流通の段階で摘発されても、辿っていくと架空業者に行き着き、解明には至らないことが殆んど」と実情を語るも、「模倣品は国民や国家にとって深刻な問題。真贋の判定方法を同僚とも共有し、取締まり強化に役立てば」と見通した。
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