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《ブラジル》JBS創始者再び社長に=バチスタ兄弟の逮捕を受け=BNDES総裁が疑問呈す

 食肉加工では世界最大手のJBSの経営審議会が16日夜、サンパウロ州の刑務所で拘留中のウエズレイ・バチスタ容疑者に代わる社長として、同容疑者の父親でJBS創始者のジョゼ・バチスタ・ソブリーニョ氏(通称ゼ・ミネイロ、84)を全会一致で選んだと18日付現地紙が報じた。
 JBSは1953年、ゴイアス州アナポリスで創業した。ゼ・ミネイロ氏は80年代に社長の座を長男のジョゼ・バチスタ・ジュニオル氏(通称ジュニオル・フリボイ)に譲ったが、ジュニオル氏が政界進出などを考え始め、次男と三男のウエズレイ、ジョエズレイの両容疑者が同社の経営の責任を取る体制が整えられた。ゼ・ミネイロ氏は退任後も、同社の動向を観察していたという。
 13日のウエズレイ、ジョエズレイの両容疑者逮捕後、J&Fの42%に次ぐ、21・3%の株を所有する社会経済開発銀行(BNDES)が、ウエズレイ容疑者に代わり、残りの任期を務める社長選出を求めていた。
 バチスタ家はウエズレイ容疑者の息子で米国JBS役員のウエズレイ・フィーリョ氏(26)をと考えていたが、若年という事もあり、BNDESは国際JBSのジウベルト・トマゾーニ社長の就任を希望、意見が対立していた。
 そこで、選ばれたのがゼ・ミネイロ氏だ。BNDESは経営審議会に二つの枠を有しているが、現在は欠員が出て、クラウジア・サントス氏だけが出席。全会一致でゼ・ミネイロ氏の社長就任を決めたが、BNDES総裁は16日の審議会開催を知らなかったといい、審議会そのものの有効性に疑問を呈している。
 JBSはBNDESからの融資を利用し、食肉加工業界の世界最大手となったが、現在は不正判明で多額の罰金を抱え、南米諸国での食肉加工工場をミネルヴァに3億ドルで売却した他、VIGORやALPARGATASなども売却交渉締結または継続中だ。
 ウエズレイ、ジョエズレイの両容疑者逮捕は両者の罪状を不問に伏すとの司法取引停止が原因だが、その理由の一つは、マルセロ・ミレール元検察庁検事が取引を仲介した疑いが生じた事だ。
 この件は、米国JBSと米国司法当局との間で進められていた司法取引にも暗雲を投げかけている。収益の87%をブラジル外で上げているJBSにとり、56工場を持ち、収益の51%を上げている米国での活動継続の可否は大きな意味を持つ。米国に工場などを持つ会社が本国で贈賄行為を行う事は米国の法律に触れるため、米国司法当局との司法取引は是が非でも締結する必要があるが、交渉は難航しそうだ。