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「汚職直らぬなら軍介入」=陸軍将軍の発言で波紋

 陸軍のアントニオ・アミウトン・モウロン将軍が15日に発した、「政界腐敗が止まらぬなら軍の介入もありうる」との発言が問題となっている。19日付現地紙が報じている。
 モウロン将軍は15日、ブラジリアで行われた講演会の席で、聴講者から、現在のような政治危機が続くなら、軍が介入する可能性はあるか、と質問され、「司法当局が政界の問題を解決できないようなら、そうしなければならなくなるかもしれない」が、「軍による介入は容易ではない」と答えたという。
 このような発言が行われたことを重要視したラウル・ジュングマン国防相は、陸軍総司令官にモウロン将軍の発言に関する事情説明を求めた。
 ブラジルでは、軍の上層部が政治的な発言を行う場合、事前に許可をとらないといけないことに法律上決められている。
 この発言に関しては、エドゥアルド・ヴィラス・ボアス陸軍総司令官も不快感を示した。「軍事政権が終わり、民政復帰した1985年以降、どんなことが起きようと軍が介入することはない」とし、民主主義を保つために憲法を尊重すべきとの見解を示した。
 モウロン将軍は2015年にも政治家を批判して、南部総司令官の役を辞職させられている。また、かれが統率していた部隊が、軍政時代に数々の拷問刑を科し、政治犯の死にも関わってきた陸軍秘密警察(DOI―CODI)元署長のカルロス・アルベルト・ブリリャンテ・ウストラ氏を称える行為をとって、問題視されたこともある。現在はブラジリアに左遷されて会計部門に配属されており、来年3月に退役の予定だ。
 元軍隊出身の下院議員で来年の大統領選への出馬が濃厚なジャイール・ボルソナロ氏は、「政界が腐敗すれば、市民であれ、軍であれ、誰かが反対の声をあげなければならない」とモウロン氏の行為を評価した。同氏もジウマ大統領罷免投票の際にウストラ氏を称え、物議を醸した。