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110周年だからこそ「コロニアの和」を

ロランジャで開催された立派なパラナ州移民百周年の式典

ロランジャで開催された立派なパラナ州移民百周年の式典

 どうも来年の移民110周年を巡って、パラナ州とサンパウロ州で足並みがそろっていない。
 22日付本紙7面に報道されたように、パラナ州が記念式典をサンパウロ州と同じ来年7月21日(土)に設定したからだ。日本から皇族や政府関係者に来てもらうようお願いする大事な時期なのに、「日系社会が内輪もめをしている」と敬遠されるのではと心配になる。
 パラナ州側のトップ、西森ルイス祭典委員長(連邦下議)と、サンパウロ州側のトップ、呉屋春美文協会長は早急に会合を開き、10月の海外日系人大会までにこの問題を解決すべきだ。
 皇族は一日で二つの式典に出席しないとの規定があるとの話も聞いた。であれば、従来と同じようにずらさないと両方に出席していただけない。
 菊地義治実行委員長は今年2度目となる訪日で各県庁を飛び回って、110周年式典への招待状を県知事に手渡し、会場となる県連日本祭りへの参加を呼びかけている。
 とはいえ菊地さんは実行委員会の長であって、祭典委員会全体のトップではない。一番責任ある立場にいるのは呉屋さんだ。菊地さんがこれだけ頑張っているのに応え、しっかりとトップ同士で話を付けてほしい。
 サンパウロ州式典をこの日付にすることは、今年1月時点で決まっていた。さらに3月9日午後、西森下議が来社した折り、その時点では「パラナ州ではまだ式典の日付が決まっていない」とのことだった。
 コラム子自身が「サンパウロ州式典は来年7月21日に決まっている。パラナ州の式典はそれと重ならないように、実行委員会同士で話し合って調整した方が良いですよ」とアドバイスしたのをおぼえている。
 西森下議は「もちろん話し合って決めますよ。力を合わせて行かないと」と言っていた。
 それがフタを開けたら同じ日だ。
 パラナ州110周年の折笠リカルド式典副委員長に電話で確認したところ、「8月10日ごろにテメル大統領にも、来年7月21日の招待状を渡してきました。その上で、本人から『パラナに行くよ』と言っていただいた。いまさら変えることは難しい」とのこと。
 今までの周年式典ではちゃんと調整してきたのに、どうして今回はできなかったのか…。まったく悔やまれる。
 パラナ州では従来、ロランジャ日本移民センターで節目の移民記念式典が開催されてきたが、来年はマリンガ日本公園が会場になるとの話も聞いた。
 70年祭以降の記念式典は、すべてロランジャで行われてきた。そのための場所だから、移民史料館、開拓慰霊碑、移民の像、記念塔、パラナ開拓神社等がある。実際に天皇皇后両陛下や皇太子殿下、秋篠宮殿下など皇族を5度もお迎えした由緒ある地だ。
 関係者から「ロランジャには屋根のある大きな施設がないので、雨が降ると大変。その点マリンガは大きな多目的体育館があるので安心」との話も。
 一方、マリンガ日本公園の資金繰りが大変になっており、「大規模イベントを開催して認知度を上げ、地元の利用を増やしたいのでは」との話も聞いた。
 移民百周年を記念して8年がかりで造成された立派な公園であり、面積は約10万平米もある。その半分以上が日本庭園であり、国内最大規模だ。でもその分、保守管理に毎月7万レアルもかかる。
 16年11月5日付け本紙記事にはマリンガ市からの補助金が毎月4万レと書かれている。
《自営を見越し年々減額されるという。またこの補助金制度は30年契約で、半期を迎える15年目に金額などが見直しされることになっている》とも。
 マリンガは西森下議の選挙地盤でもあるだけに重要な場所だ。
 百周年が副大統領だった以外は、70周年以来毎回、大統領が出席してきたパラナ州式典。たしかに大統領の出席は大切だが、「コロニアの和」と天秤にかけるべきなのだろうか。
 来年はエクアドル移民百周年もあるが、外務省の中前隆博中南米局長からは「ブラジルは特別。皇室の御来訪については、併せてということでなく個別に検討する」との話が菊地さんにあったという。日本の方では相応に考えてくれている。
 ならば、なおさら一致団結した受入れ態勢を固めなくてはいけない。呉屋会長の腕の見せ所だ。菊地さんに負けない仕事ぶりを見せて欲しい。(深)