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ロック・イン・リオ終了=後半戦で話題をさらったのは?

 24日、今年も計7日間行われた、第7回目のロック・イン・リオが幕を閉じた。今回は後半、21日(木)~24日(日)で話題を集めたものを振り返ってみよう。
 ロック・イン・リオがしばし問題視される点の一つに、「同じアーティストの繰り返し出演が多すぎる」というものがある。今回も目玉出演者のほとんどが2回目以上の出演者だ。
 とりわけ、23日のトリをつとめたガンズ&ローゼズは7回中5度目の出演だった。そのガンズのステージが、今年は3時間という、ワンマン・ライブ並みかそれ以上の長さだったことに、まず賞賛と批難の両方の声があがった。
 トラブル・メイカーで知られるガンズは、2013年のロック・イン・リオで降雨にも関わらず登場が遅れ、朝方までライブを行って話題を呼んだが、今回はヴォーカルのアクセル・ローズの声のコンディションが明らかに悪く、高い声が出なかったり音程を外したりする場面が頻発。そこは大いに批判されたが、ほかの公演ではまずやらないような異例の長さのコンサートに本人たちの意気を感じた人も少なくなかった。
 また、出演者の高齢化も目立ち、ボン・ジョヴィのジョン・ボン・ジョヴィも50代を迎え、かつてのような高音が出せなくなっていることが指摘された。
 その一方、ビートルズやローリング・ストーンズと同時期から活動するもうひとつのイギリスの大物バンドながら、今回がはじめての南米での公演ツアーだったザ・フーが、ガンズの前で80分と限られた時間ながら、70代とは思えない鋭いギターと激しいシャウトもいとわない堂々とした歌いっぷりで、詰め掛けた若いファンをも心酔させ、話題を呼んだ。ザ・フーを今回のロック・イン・リオでのベストにあげる声も多かった。
 そのほか、レッドホット・チリ・ペッパーズやエアロスミスのショーも評判を呼んだが、もう少し若い世代の未出演アーティストを出演させる冒険、あるいはザ・フーや13年に実現させたブルース・スプリングスティーンのような、人気そのものよりも通をうならせるような伝説クラスのアーティストを呼ぶ努力をする必要があるだろう。
 あとは、現在のテメル政権の不人気ゆえに、反政府的な声をあげる観客も目立った。前週行われた第1弾の週末は環境破壊へのメッセージを行うアーティストが目立ったが、今回は、ブラジリア地裁で出された、「同性愛者を異性愛者に戻す治療を施してよい」という、俗に「ク―ラ・ゲイ(ゲイ治療)」を認めた判断に対する抗議運動が行われ、いたるところでレインボー・カラーの旗が見られた。
 また、ブラジルのベテラン・ロックバンド、カピタル・イニシアルが「テメル政権に捧げる」と言って、ブラジル・ロック史上最大のプロテスト・ソングのひとつとして有名なレジオン・ウルバーナの「キ・パイース・エ・エッセ」を歌ったのも話題を呼んだ。
 今回のロック・イン・リオの影響で出演者はのきなみ注目度をあげていたが、音楽ストリーミング・サーヴィスの「スポティファイ」によると、開催後、もっともストリーム数が上がったのは、前半2日目でアメリカの女性歌手ファーギーのステージに飛びいり出演した、今年、ブラジルで急にブームとなっているドラッグクイーンの歌手、パブロ・ヴィッタールで、彼女の曲3曲が、今ブラジルで最も聴かれる5曲のうちの3曲を独占しているという。