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サンパウロ市でA型肝炎が急増中=昨年比で9倍以上を記録=衛生意識向上を呼びかける医師

ジョアン・ドリアサンパウロ市長(Heloisa Ballarini/SECOM/FotosPúblicas)

ジョアン・ドリアサンパウロ市長(Heloisa Ballarini/SECOM/FotosPúblicas)

 2017年、サンパウロ市ではA型肝炎の発生が急増していると、4日付現地紙各紙が報じた。
 サンパウロ市保健局のデータによると、同市では今年、9月16日までの時点で517件のA型肝炎の発症が記録されている。これは昨年の54件の9倍以上だ。
 サンパウロ市での同疾病の患者数は、サンパウロ州全体の9割以上を占めている。昨年の場合、サンパウロ市で発生した患者は州全体の4割に過ぎなかった。
 肝炎にはB、C、D、E型などがあり、B、C、E型は慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんへと進行する可能性がある。
 A型肝炎は他の肝炎と同様に、ウイルス感染によって起きる肝臓の炎症だ。他の型の肝炎より危険性は低いとされているが、容易に感染しやすい性質がある。
 A型肝炎は、感染者の糞便との接触や、ウイルスに汚染された水や食品を摂取することでも、容易に感染する。
 主な症状には、関節や筋肉の痛み、下痢、吐き気、嘔吐、倦怠感、食欲不振、発熱、かゆみ、黄疸、体重減少、尿の異変などがある。発症した際は速やかに医師の診断を受けることと、禁酒、休養が必要だ。
 市保健局によると、今年発症した患者の内、2人が死亡。4人は重症化して、肝機能に障害を遺した。4人の重症者は、肝臓移植を待つ人の列に加わっている。
 市保健局流行病監視部の担当医師、ジェラルジーニ・マダロッソ氏は、サンパウロ市が今年直面している、急激なA型肝炎発症の増加は、米国や欧州にも見られる傾向だとしている。
 A型肝炎は通常、衛生状態の悪い地域で起こる事が多く、経口、または肛門の粘膜の接触を伴う性交渉で感染する事もある。
 マダロッソ氏は「20歳から39歳の男性の感染増加が目立っている」とも語り、感染を避けるためには性交渉前後の衛生状況に気をつける必要があるとしている。
 また地元紙は、07年から13年にかけての梅毒発生も、およそ6倍に増加したと伝えた。
 梅毒は性交渉により血液が混じりあうか、妊娠中の母から胎児へのルートで感染する。同紙は性に関する知識の乏しい若者や、勃起不全治療薬の普及で性交渉を再開した50歳以上の世代での感染が目立つとしている。