【既報関連】2年にわたって雇用減少が続いていたブラジル国内工業界が回復の兆しを見せ始めており、6月から8月までの雇用増減調査においても他業界をリードする伸びを見せた。これは、経済の回復が、労働市場にも影響を及ぼし始めたことの表れと、8日付現地紙が報じた。
工業界の雇用者数は、商業界、公共部門に次いで、3番目に多い。6~8月に創出された92万4千人分の雇用の内、40%は工業部門でのものだった。雇用回復に大きく寄与したのは、自動車、繊維、製靴、衣類、電化製品、化学/医薬品部門などだ。
オプス・インヴェスチメント社主席エコノミストのジョゼ・カマルゴ氏は、「実態を持った経済回復が起こっている。インフレ率の低下で実質賃金が増えた事で、サービス業、商業部門への需要が増え、遂には工業部門にも影響が及び始めた」と語っている。
今年に入ってから8月までの失業率は、13・7%から12・6%に低下した。同氏は、年末時点の失業率は11・5%まで下がると予想しており、失業率低下は来年も続くと見ている。
工業界の雇用者数は、15年の5月以降、減少が続いていたが、今年4月からは増加に転じた。
サンパウロ州とミナス州に五つの工場を持ち、電気加熱式の蛇口や温水器、シャワーヘッドを製造しているローレンゼッテグループは、最近150人を新規雇用した。年内にさらに140人を雇用する。
エドゥアルド・コリ社長は、「景気が上向きかけた今は、棚上げになっていた投資計画を実行する時だ」と語った。
製靴業界や繊維業界も景気回復を実感し、雇用を行っていく方針を示している。
商業界も、最悪の時期は脱したと言える。インフレ率、金利、債務不履行の低下、勤続期間保障基金休眠口座の引き落とし解禁などは売上の伸びにつながった。だが、再出店の動きが出てくるほどではないと9日付現地紙は報じた。
全国財・サービス・観光商業連合(CNC)の調査によると、今年上半期の新規出店件数と店舗閉鎖件数の統計では、閉鎖が出店を1万7311件上回った。昨年の6万7211件と比べと閉鎖ペースは落ちたが、出店増には至っていない。
CNC主席エコノミストのファビオ・ベンテス氏は、「出店が増えるには、直前四半期だけ売上が回復してもたりない。出店数と閉店数がイコールになるのは来年の上半期で、それ以降も売上の回復が続けば、ようやく新規出店ペースが閉店ペースを上回るのではないか」としている。