社会保障制度改革を11月に採決に掛けようとするブラジル政界内の動きや、国際通貨基金(IMF)が今年のブラジルのGDP成長率を0・3%から0・7%に見直したことなどから、10日のサンパウロ株式市場指数(Ibovespa)は、前日より1・55%高となり、最高記録となる7万6897・20ポイントでひけた。
「社会保障制度改革やIMF以外にも、国内景気の勢いを測るパラメーターとなる、梱包用波型段ボールの売れ行きがあがっている事が、投資家を強気にさせた」と語るのは、投資顧問会社XPインヴェスチメント社のアナリスト、マルコ・サラヴァッリ氏だ。
国内市場への期待感から、銀行株が軒並み好調で、サンタンデール銀行は3・81%、イタウ銀行は2・49%、ブラデスコ銀行は2・12%それぞれ上昇した。
ブラジル株の好調には米国株が好調であることも影響している。同日のダウジョーンズは2万2830・68ポイントで最高値を更新し、ナスダック指数も上昇した。
ロンドンやニューヨークでの石油先物市場の高騰もブラジル最大の石油公社ペトロブラス社(PB)の追い風となった。PB株は通常株が1・46%、優先株が1・89%それぞれ上昇した。
「まだ、不確定要素もあるのにこの上昇は驚きだ。本当に11月に社会保障制度改革が通ってしまったら、株価はもっと上がるのでは」とテンデンシアス・コンスウトリア社のシルヴィオ・カンポス氏は語るが、来年は大統領選という、展開次第では株価にとって大きくマイナスに作用する可能性のあるイベントも控えているので、投資家は注意が必要だという。
XPインベスチメント社は、大統領選のリスクを認めつつも、楽観的に予想すれば、来年末までに、今からさらに18%上昇の9万ポイント超えもあるとしている。
Ibovespaは、今年9月11日に9年ぶりの最高値更新となる7万4千ポイント超えを果たしてからずっと、過熱傾向が続いている。
しかしながら、現在は9年前よりドルがレアルに対して弱い。4万4616ポイントを記録した2008年5月19日の指数をドル換算して比較すると、今年9月のIbovespaは2万4千ポイントに過ぎない。(11日付エスタード紙より)