ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》外国投資持ち直しは次期大統領次第=GDPや失業率は良化も=現政権での改革には評価の声=テメル不人気で継続不安視

《ブラジル》外国投資持ち直しは次期大統領次第=GDPや失業率は良化も=現政権での改革には評価の声=テメル不人気で継続不安視

23日のテメル大統領(Marcos Corrêa/PR)

23日のテメル大統領(Marcos Corrêa/PR)

 エンリケ・メイレーレス財相やイラン・ゴールドファジン中銀総裁、はてはテメル大統領までが外国人投資家にブラジルへの投資を呼びかけているのに、18年の大統領選で誰が大統領になるかが不透明なことが外国からの投資を鈍らせていると、22日付現地紙が報じている。

 国内外の投資の伸びが、2年間続いた景気後退(リセッション)後の景気回復の鍵を握ることは、かねてから指摘されていた。

 ブラジルへの外国投資は、「BRICS諸国の台頭」が世界の経済界をにぎわせ始めた2006年~07年と、リーマンショックから回復した2009年~11年に一気に伸びたが、11年後半に景気減速が言われ始めたことで12年~13年は大きく下降。サッカーW杯のあった14年に一時持ち直したかのようにみえたがまた下降し、15年~17年も伸び悩みの状況が続いている。

 国内総生産(GDP)は17年第1四半期からプラスに転じ、さらに失業者数も減少。サンパウロ証券取引所での株価も2019年10月には16年の2倍になるとの予測が出るなど、よい兆候も見え始めた。ただ、それでも外国投資はまだ控えめな状況にある。

 その理由を専門家たちは、「外国人投資家たちの間で、18年の大統領選で選ばれる大統領がテメル政権の進める経済立て直し路線を継承するかが不透明という見方が強いため」だという。

 投資会社リオ・ブラーヴォ・インヴェスチメントスのチーフ・エコノミスト、エヴァンドロ・ブッシーニ氏は、2週間前にニューヨークやワシントンDCで外国人投資家らと行った会談の実感から、「ブラジルやラテン・アメリカに強いつながりのない投資家は今、ブラジルへの投資を行いたがっていない。先行きが極めて不透明で、投資に向けた動機付けは以前ほど強くないからね」と語る。

 ブッシーニ氏は、外国投資が増えるために不可欠な条件として、「経済復興の継続」「財政収支の良化」「大統領選のシナリオの透明化」の三つをあげている。

 米国の小売大手ウォルマート・インターナショナルのリチャード・メイフィールド副会長は13日、ワシントンDCで開催されたブラジル・米国共同の経済カンファレンスでブラジル政府が行っている政治改革、特に労働法の改正を評価し、「政治的状況は困難だが、これまで足かせとなってきた複雑すぎる税制が簡素化された上、若年労働者がつきやすい柔軟な雇用形態ができるようになると、より活気付く」と賞した。

 だが、経済誌「ラテン・ファイナンス」によると、ワシントンDCでの国際通貨基金(IMF)の定例会議に集まった投資家たちの見解では「ブラジル経済を良くするためには現状改革は必要だが、テメル大統領が有権者に著しく不人気なことで、今後それが継続して行われるかが微妙だ」と見られているという。