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リベルタドーレス杯=グレミオ3度目の戴冠へ前進=エクアドルのバルセロナを敵地で倒す

先制ゴールを決め、喜ぶグレミオのFWルアン(LUCAS UEBEL/GREMIO FBPA)

先制ゴールを決め、喜ぶグレミオのFWルアン(LUCAS UEBEL/GREMIO FBPA)

 クラブチームの南米ナンバーワンを決めるリベルタドーレス杯(以下リベルタ杯)の準決勝第1試合、バルセロナ(エクアドル)対グレミオ戦が、25日にエクアドルのグアヤキルで行われ、グレミオが敵地の試合を3―0で勝利して、1995年以来22年ぶり3度目の優勝に向けて大きく前進した。

 1960年創設のこの大会は、優勝すれば南米王者の称号が得られると共に、12月にアラブ首長国連邦(UAE)で行われるクラブワールドカップへの出場権が得られるため、ブラジル全国選手権(ブラジル国内のリーグ戦)よりもそのステータスは高い。

 ブラジルでは毎年、全国選手権終盤になると、優勝争いもさることながら、上位チームに与えられる来年のリベルタ杯出場権を巡る順位争いも注目される。

 リベルタ杯は、今年から大会日程が変更され、2月から11月までの長丁場になった。これまでは7月には決勝も済んでおり、日程が全国選手権と重なることも少なかったが、今年からは、勝てば勝つほど、日程面での負担が大きくなった。

 週末は国内のリーグ戦、平日はリベルタ杯の試合になるからだ。決勝トーナメントからはホーム&アウェイの2回戦制のため、リベルタ杯の試合があると、長距離移動もはさんでの試合が中2日、中3日のペースで続いてしまう。

 グレミオのレナト・ガウーショ監督は、日程面での不利を克服するために思い切った手段に出た。リベルタ杯の前後の国内リーグ戦で、控えメンバーをスタメンに並べて戦ったのだ。それも、リベルタ杯の試合があるたびに毎回、全員だ。

 そもそも、グレミオは全国選手権でも2位につけていた。「ここで勝てば首位コリンチャンスとの差を縮めるチャンス」といわれるような試合でも、レナト・ガウーショ監督は躊躇なく、控えをスタメンに起用し、それで負けても、記者会見で「こんな馬鹿げた日程の中、俺にどうしろっていうんだ? リベルタ杯を優先させて何が悪い?」とうそぶいていた。

 そうして直前の試合で温存されたレギュラーメンバーがリベルタ杯で活躍することで、決勝進出目前まで勝ち進んできたのだ。

 これは「危険な賭け」でもある。事実、控えメンバーで戦った全国選手権の試合をことごとく落としたグレミオは順位を下げている。もしリベルタ杯で優勝できなかったら、「何もタイトルを獲れなかった」と批判されるのは確実だ。

 しかし、リベルタ杯で優勝すれば…? 「南米王者」の地位が「ブラジル王者」より高いのは明らか。12月には、クラブワールドカップでレアル・マドリードへの挑戦も待っている。

 来週ホームで行われるリベルタ杯準決勝第2試合に備え、今週末の全国選手権で、控えメンバーをスタメンに並べても、もう彼を批判する人はいないだろう。

 グレミオの選手として、1983年にチーム初のリベルタドーレス杯制覇(その後トヨタカップで欧州王者も破り世界一)を成し遂げたレナト・ガウーショ。今年、監督としても南米制覇を成し遂げれば、その名前は永遠にクラブ史に刻まれる事となる。 (規)