トルクアット・ジャルジン法相は10月30日に、刑事裁判の第2審で有罪となった被告はこの時点で刑に服すべきで、政治家の選挙出馬に関しても、「第2審で有罪になった場合は出馬できない」との見解を示し、テメル大統領や国家総弁護庁(AGU)よりも厳しい立場を表明したと、10月31日付エスタード紙が報じている。
刑事裁判での刑執行の時期は、現状で法解釈が分かれている。最高裁では、2016年10月に6対5で、第2審で有罪となったら禁固刑を執行できるとの判断を出し、今年行われた審理でもその見解が支持された。 だが、AGUは今も、それ以前からあった「一切の控訴が不可能になるまで」との解釈を支持しており、最高裁に再審理を要請した。法学出身のテメル大統領も、刑法283条の「現行犯逮捕または予備拘束以外での投獄は、裁判が結審した時点で」と理解するのが妥当と考えている。 この問題は、現職の政治家が来年に控えた統一選に出馬できるか否かにも関係している。フィッシャ・リンパ法では、「複数の裁判官による審理で有罪とされた場合、刑期終了から8年間は選挙に出馬できない」と定められているからだ。 刑事被告の出馬は、現在、国内のほとんどの大型政党で問題となっている。最も気になるのは労働者党(PT)で、18年大統領選の世論調査で30%以上の圧倒的な支持率を得ているルーラ氏だ。同氏はパラナ州連邦地裁で有罪判決を受けており、2審の第4連邦地域裁(TR4)がこれを支持してフィッシャ・リンパ法が適用されれば、出馬を断念しなくてはならなくなるからだ。(地裁での審理は判事が1人だが、地域裁は3人の判事で審理する) また、テメル大統領の民主運動党(PMDB)や民主社会党(PSDB)、テメル政権を支える進歩党(PP)、社会民主党(PSD)、共和党(PR)などのセントロン系政党も、ラヴァ・ジャット作戦で疑惑をかけられた政治家が多く、気がかりなところだ。 刑執行の時期については、最高裁内部でもいま一度審議を行おうという動きがある。それは、16年10月の判事投票の際も接戦だったこと、その頃から既に判事が1人入れ替わっていることなどが原因だ。 こうした現状に対し、トルクアット法相は「このような経緯を経て最高裁が見解を簡単に変えるようでは、最高裁の名に汚点を残してしまうのではないか」と警鐘を鳴らしている。同法相はさらに、「法律通りで見れば第2審有罪で出馬失格であり、それが定まらないようだと政情不安は解消されない」との見解も表明している。