テメル大統領(民主運動党・PMDB)は10月30日、来年度予算に影響する暫定令(即座の施行となるが、120日以内の議会の事後承認が必要)を出したと10月30、31日付現地紙・サイトが報じた。
連邦政府は、「18年度の会計の赤字額を1590億レアル以内に収める」という財政目標を掲げているが、暫定令により、収入増と支出減の両方合わせて126億レアル分の効果が期待されている。
暫定令の内容は、来年の選挙のことを心配する多くの議員たちにとって歓迎できるものではないが、政府の経済政策班は必要な措置だとしている。
暫定令には、「月収5531・31レアル以上の国家公務員の年金負担率を11%から14%に引き上げる」や、「18年は国家公務員の給与調整の実施を見送る」等があり、「年金負担率引き上げ」では22億レアルの収入増が、「給与調整見送り」では44億レアルの支出減が果たせるとしている。
暫定令には、以前から噂されてきた、「非公開投資ファンドで得られた利益への課税」も盛り込まれた。これまで非公開投資ファンドへの投資で発生した利益は、引き下ろしを行った時に、所得税が課せられるだけだったが、今後は毎年、投資ファンドの評価額の推移に応じて課税することになる。これによる収入増は60億レアルと試算されている。
ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)は、暫定令の乱発は議会軽視で、これらは法案として議会に提出され、議会が承認するというプロセスを踏むべきだとの不満を持っていると言われている。テメル大統領も一時は法案として出すことを考えたが、経済政策班による「緊急時なので暫定令も致し方なし」との意見を採用した。
ジオゴ・オリヴェイラ企画相は、「マイア議長には、状況を説明し、これらは年内に片づけなくてはいけない課題だと説得する。皆が一つになって働かねば」と語った。
オリヴェイラ企画相は同じ10月30日、来年の最低賃金(最賃)見込み額を、969レアルから965レアルに引き下げた。同企画相は、「これは決定事項ではない。最賃は来年1月に正式決定される」と語った。
最賃は、月収1~5最賃の家庭を対象とした前年の物価上昇分(INPC)に前々年の経済成長率を加味して算定される。最賃が3レアル下がることで、社会保障費を中心とする国庫負担は12億レアル減少すると期待されている。
なお、オリヴェイラ企画相は10月30日夜、サンパウロ市内の大統領私邸でテメル大統領と会談し、10月31日までだった滞納税回収計画(Refis)参加の申し込み期限を、11月14日まで延長する暫定令について話し合った。同暫定令は10月31日付の官報に掲載された。