【既報関連】ブラジル国内の多くの州では社会保障費の支払いが財政を圧迫しており、州職員たちは、今年の13カ月給を年内に受け取れないかも知れないという厳しい状態に置かれていると、5日付現地紙各紙が報じた。
2006年から16年までに、各州職員の給与総額は1347億レアルから2023億レアルへと50%増えた。同じ期間に、各州の退職者への年金などの支払いは849億レアルから1410億レアルへと66%増えた。
給与や年金の支払い額は、14年まで上がる一方だった。だが、景気後退の始まった14年からは、各州が新規採用停止や給与調整見送りなどで人件費削減を心がけたため、16年の給与総額は14年より88億レアル減った。
しかし、休、退職者への支払いはその間も86億レアル上昇したので、給与と年金を合わせた支払い総額はほぼ同額だった。
ブラジルでは各州で統一された会計基準はなく、州ごとに違った基準で人件費も算出される。
2003年12月19日より前に採用された職員は、退職後も、現役時の給与と同じ額が年金として保障され、給与調整が発生した場合も、年金も同じ額だけ調整されるという権利がある。
今回の調査研究を指揮した経済学者のクラウジオ・ドス・サントス氏は、「こうした権利を持つ人々がこれから10年でどんどん退職していく」と警鐘を鳴らす。
どうなるこの年末?
今年も残すところ2カ月を切ったが、リオ州、リオ・グランデ・ド・スル州、リオ・グランデ・ド・ノルテ州、ミナス州などの州職員、約150万人は、期限内に13カ月給を受け取れない可能性が高いことも指摘されている。
リオ・グランデ・ド・スル州での13カ月給の遅配は3年連続となる見通しだ。15年は翌年6月の支払い、16年は10回の分割払いだった。今年に関しては、ジオヴァニ・フェルテス財務局長も「いつ払えるか全く分からない」とお手上げだ。同局長は「公的銀行の株式売却と、連邦政府の援助が頼りだ」としている。
9月に連邦政府と州財政再建案を締結したリオ州は、全職員47万人のほぼ半数が、昨年の13カ月給を受け取っておらず、8月分の給与も1万5千人分が未払いだ。「連邦政府と交わした州財政再建計画に含まれる、29億レアルの融資の受け取りを待っている」と、リオ州財務局は書面で発表した。
元ゴイアス州財務局長のアナ・カブラル・カブロン氏は、「多くの州が『人件費を歳入の6割以内に収める』というルールを守っていない。13カ月給の支払いに困るのは自明のこと」と言う。