(2)東京オリンピック・パラリンピックに向け、スポーツの新たな連携を提案します
昨年、世界最大の日系社会を擁するブラジルで、リオデジャネイロ・オリンピック、パラリンピックが開催され、五輪旗の東京へのバトンタッチに全世界が注目しました。TOKYO 2020は、日本と日系社会が様々な分野で連携を深めるチャンスです。
中南米日系社会は、スポーツを通じて次世代へ文化の継承を促し団結を図ってきた伝統があり、南北アメリカ大陸の日系人が横断的な親睦を図る「国際日系親善スポーツ大会」も2018年のチリ大会で23回を数えます。
またスポーツの世界では早くから日本の指導者が中南米に渡り、日系人の選手を育てたり、その国の競技レベルを飛躍的に向上させたりした実績が数多くあります。
こうした歴史と実績を踏まえ、国民体育大会やインターハイなど日本国内の大きな競技大会に、海外日系人の参加を可能とする制度を新設するよう提案します。
日本の地方自治体と各国の県人会など日系団体との交流を促す副次的な効果も期待できます。
また、国際化に向けた農業の在り方の提言、対日観光を増やすための提言など、TOKYO2020に向け、日系社会は日本のために新たな連携を提案していきます。
(3)海外日系社会は引き続き日本の文化発信に努めます
日本政府が海外に開設する日本の情報発信基地「ジャパンハウス」がブラジルのサンパウロに本年5月にオープンしました。
先の有識者懇談会の「報告書」では中南米だけでも日系社会の主要行事は年間200件以上にのぼり、参加者数は延べ200万人以上に達すると報告されています。
今や、日系人の行う日本祭り等のイベントの来場者の多くは非日系人であり、主催し組織する側でも多くの非日系人が活躍しています。
移住一世世代より受け継いだ伝統を独自に発展させ継承してきた日本文化と、現在の日本が発信したい最新の日本文化の双方において、日系社会はその発信の役割を担うことが可能です。
海外日系社会はクールジャパンの魅力も各国社会・国民に発信し続けます。
(4)日本のビジネス戦略や国際協力に日系人の活用を求めます
居住国の言語や文化を身につけ、多文化が共生する社会で生きてきた日系人は、居住国の政治、経済、教育等、社会のあらゆる分野に進出すると同時に、それぞれの業種で、また日系人同士で、幅広い人的ネットワークを構築しています。
また1990年代から顕著になった日本へのデカセギ現象による新たな人の往来は、居住国社会において日本に対するより詳しい知識や興味を掘り起こしたと言えます。
日系人が日本文化を背景とした新たなビジネスにチャレンジし、居住国や日本に限らず世界各地で豊かな経験を生かして活躍している例も数多く見られます。
日本企業の海外ビジネス展開や日本政府による国際協力において、高度人材としての日系人の総合的な能力を積極的に評価し活用するよう望みます。
さらに日本企業が日系団体を含む現地の社会貢献に力を入れるなど、日本と日系社会がWIN・WINの関係となる連携がさらに進むことを期待します。(つづく)