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「ベネズエラはデフォルト」=ブラジルもパリクラブに直訴

 ブラジル財務省が15日、フランスの経済・財政・産業省財務総局が運営するパリクラブに、ベネズエラは事実上のデフォルト(債務不履行)に陥っていると通達する意向と13、14日付ブラジル国内紙・サイトが報じた。
 ベネズエラの経済状態悪化は様々な形で表出し、ブラジルで難民申請をする同国人も急増している。今回の措置は、同国が9月に2億6200万ドルの支払を怠り、督促にも応じないためにとられる。同国は来年1月に返済期限を迎えるブラジルへの負債も2億7千万ドル抱えており、ブラジルも含む諸外国への負債を支払えば、国民への社会政策費なども残らないのが現状だ。
 パリクラブは、1956年にアルゼンチンが対外債務を払えなくなった際、政府や公的機関の債権者が、新しい返済スケジュールを作るべく協議を行ったのが発端だ。
 ベネズエラの債務不履行は多くの国の懸念事項で、同国政府は13日も債権国や債権者との会合を開いた。同国政府は債務不履行への懸念を否定したものの、具体的な返済方法や時期は何も示せずに終わった。中国やロシアは米国をけん制するため、デフォルト回避のための支援を続けてきたが、今後の支援継続のあり方は不明だ。
 ベネズエラがブラジルに対して抱えている負債は同国への資本財やサービスの輸出に関連するもので、貿易関係の保証や保証基金の投資家機関(ABGF、公社)による保険付で輸出されている。返済が120日以上遅れると、同公社が輸出業者に融資した銀行に債務を払う。
 融資を行った主要銀行は、ブラジルの社会経済開発銀行(BNDES)とクレディ・スイス、中国銀行の三つだ。当面の債務立替分はABGFが輸出時に業者から徴収する保険金から支払うが、最終的には国庫が負担する。
 ベネズエラ政府が同国駐在のブラジル大使からの会談要請に応えないため、ブラジル財務省はベネズエラ政府に債務を支払うよう求める督促状を送ったが、ABGFの保険がかけてある同国への輸出の未回収額は15億ドル。ロシアや中国にベ国が抱える債務は、前者が100億ドル、後者が300~500億ドルといわれている。
 なお、ベネズエラで行われた10月の地方選挙で同国政府による不正が行われた疑いや、人権蹂躙などの件で、同国との対話を促すため、欧州連合(EU)は13日、武器禁輸などの制裁を課す事を決めた。