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リオ州汚職=カブラル元知事の実刑は300年?=逮捕から1年、約4億レ収賄=W杯と五輪工事を悪用

カブラル被告(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)

カブラル被告(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)

 17日で、リオ州元知事のセルジオ・カブラル被告(民主運動党・PMDB)が逮捕されて丸1年が経過した。ブラジル政治家史上、最大級の汚職犯罪を起こしたと目される同氏の罪状を17日付フォーリャ紙の記事に基づいて振り返る。
 カブラル被告は2016年11月17日に行われた、ラヴァ・ジャット作戦第37弾のカルカッタ作戦で、収賄容疑などで逮捕された。その時の容疑は14年のW杯のためのマラカナン・スタジアム改修工事などに絡むもので、その後も、リオ州石油化学コンビナート(Comerj)建設事業絡みの収賄など、数々の疑惑が噴出した。
 それからの1年間で、カブラル氏は16件で告発を受けた。現時点で判明している収賄額は3億8600万レアルで、4億レアルを超えることも予想されている。
 現在までに判決が下った裁判は3件で、そこで受けた実刑判決の年数は合計72年(最長の件で45年)となっている。専門家の見方によると、16件全ての裁判で有罪判決を受けた場合の実刑判決の合計は、300年は下らないという。
 カブラル氏は2007年から14年4月まで州知事をつとめており、時期的に、W杯やリオ五輪に関した都市化計画に伴う事業での収賄が目立つ。
 収賄額が最も多かったのは、バス会社からなるリオ州乗客輸送会社連盟(フェトランスポール)による1億2280万レアルの収賄だ。
 マラカナン・スタジアム改修やファヴェーラ改善のための経済活性化計画(PAC)、高速道路建設、地下鉄4号線計画などでは、ゼネコン企業から契約金の5%の手数料を賄賂として受け取っていた。ラヴァ・ジャット作戦で判明した、ペトロブラス絡みの事業契約での各政党が受け取った1~3%と比較しても高い手数料だ。
 また、リオを代表したかつての大富豪エイケ・バチスタ氏との資金洗浄計画では5500万レアルを受け取っている。
 同氏への賄賂は3億1850万レアルが国外の隠し口座に送られた他、1100万レアルが宝石、970万レが選挙資金、630万レが不動産に形を変えていた。
 同氏の妻で弁護士のアドリアーナ・アンセルモ氏も架空請求書の作成に携わっており、判明しているだけで830万レアル分の不正請求がある。
 同州での汚職は五輪組織委員会や同州会計検査院などにも及んでおり、14日にはジョージ・ピシアニ州議会議長ら、PMDB州議3人が逮捕される事態も起きている。