世界銀行は21日、ブラジルの公共支出を八つの分野に分けて分析した報告書を、エンリケ・メイレレス財相とジオゴ・オリヴェイラ企画相に渡した。
この報告書では、予算の額はふさわしいか、予算は効率的に使われているか、社会正義の観点に則っているかの、三つの側面で評価されているが、結果は必ずしもブラジルにとって好意的ではなかった。
世銀の報告書のタイトルは「公正な財務調整:ブラジルにおける公共支出の効率性と公平性の分析」で、今のブラジルの公共支出が公正ではないと考えていることを即座に感じさせる、挑発的なものだった。
世銀によると、ブラジルでは、連邦政府も、州政府も、市も皆、収入に見合わないほど支出しており、その使われ方も非効率的で、行政の目的を果たせていない。
さらに、多くの場合、貧しい人がより不利に、豊かな人がより有利になる不公平な仕組みとも断じられていて、ブラジルにとって耳の痛い内容だった。
ここ20年間、ブラジルにおける公共支出は右肩上がりで増加し、国の財政を危険にさらしていることも指摘されていた。現在、ブラジルの財政赤字はGDPの8%に達している。また、2012年はGDPの51・5%だった累積負債が、今年は73%に達した。
年金や各種手当ての社会保障に関しては、国民から集められた社会保障費の35%が、収入が上位20%に入る富裕層に回り、下位40%の貧困層には18%しか回っていない事も指摘された。
国家公務員にわたる退職金その他の手当てはGDPの1・2%に相当するのに対し、州や市レベルの地方公務員にわたる手当ては0・8%だ。
中等、高等教育への連邦政府支出も効率性を欠いており、GDPの1%分に当たる支出を削っても同じレベルを維持できるはずだと報告書には書かれている。
また、政府はGDPの0・7%分もの資金を連邦大学に回しているが、それを享受している連邦大学学生の65%は経済的に豊かな上位40%の層に属し、授業料を徴収しないのは不公平だとして、私立大生に適用している学生融資基金(Fies)を公立大学にも適用し、授業料を払えない人には奨学金を払う事を勧めた。
2015年には、企業の支援政策に、GDPの4・5%にあたる公金が流れた。報告書によると、支援を受けた企業が生産性向上と雇用創出に貢献したという証拠はなく、「ブラジルの競争力強化と生産性向上には悪影響」とまで書かれている。
保健・医療面については、「同じ水準のサービスを維持しながら、支出をGDPの0・3%削減することが可能である」と述べている。
公共事業の入札においても、法律を変更する必要なく、入札システムと政府調達の改善により、3年間で最大350億レアル節約する事が可能だろうと、報告書は記している。
世界銀行は、ブラジル連邦政府が全体的に公共支出の効率性を高め、不当な特権を削減し、より貧しい層に行政サービスを集中させることで、GDPの約7%分の公金を節約できると結論づけている。(21日付G1サイトなどより)