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コーヒー豆のカスからバイオディーゼル

 ニュースを流しながら家事をやっていたら、英国ロンドンで、コーヒー豆のカスから抽出した油を使ったバイオディーゼルが2階建てバスの燃料に加えられるとの報道があった▼英国は紅茶のイメージが強いが、ロンドン市民が飲むコーヒーは1日平均2・3杯。単純計算では年間20万トンの豆カスが出るという。ゴミ廃棄場に送られた豆カスはメタンガスや二酸化炭素ガスのもとになるが、これを回収し、適切な処理を施せば、再生可能燃料となるのだ。ロンドン交通局が決めたバイオディーゼル使用量は6千リットルで、バス1台の1年分の燃料に相当するという▼この報道は、英国よりコーヒーの消費量が多い米国やブラジルではより大量のバイオディーゼルが製造できるはずで、温暖化防止にも役立つと結んでいた。ちょっと気になり、調べてみたら、サンパウロ総合大学(USP)が行った研究結果が2011年に発表されているし、ネヴァダ大学の研究報告に関する記事も見つかった▼コーヒー豆のカスには10~15%の油分があり、1キロのカスからは100ccの油がとれる。これを加工すると、12ccのバイオディーゼルがとれるという。ブラジルでは60キロ入りのコーヒーが1800万袋消費されるというから、本腰を入れて取り組めば、土壌汚染防止と燃料確保の両方に役立つはずだ▼実験室で成功しても、実用化には投資が必要だし、豆カスを捨てないよう啓発し、回収するシステムの構築も必要だ。だが、巷には使用済みの植物油を回収して洗濯石鹸を作るシステムを持つガス配送会社もある。庶民の口利きで再生資源の一つとしての豆カスを回収する機構は作れないものか。(み)