【既報関連】21日、リオ州の第2連邦地域裁(TRF2)は、17日にリオ州議会が出した、ジョルジ・ピシアーニ州議長をはじめとした民主運動党(PMDB)州議3人の逮捕取消処分を却下、3人は再逮捕となった。最高裁が10月に出した議員逮捕に関する審理がいま一度問題になりそうだと、22日付現地紙が報じている。
リオ州議会のピシアーニ議長とエジソン・アウベルタッシ副議長、パウロ・メロ元議長の3州議は、同州のバス企業に便宜を図った見返りに賄賂を受け取った疑いで、連邦警察のカデイラ・ヴェーリャ作戦の対象となった。16日に第2地域裁が逮捕を承認したため、3人とも16日に出頭、逮捕となった。
だが17日、リオ州議会は3人に対する逮捕命令を承認するか否かの投票を行い、39対19で3人の逮捕を拒否。3人は同日中に釈放された。なお、ピシアーニ氏は19日、自己弁護のために来年2月まで議長職を休職することを議会に申し入れた。
17日の投票は、アエシオ・ネーヴェス上院議員の収賄疑惑での上議停職か否かをめぐり、10月11日に最高裁が、6対5の接戦ながら、「最終決定権は議会で」との判断を下したことが背景にあった。上院は最高裁判断の5日後に、アエシオ氏を停職にしないという判断を下した。
だが、今回の件がアエシオ氏の場合と決定的に異なるのは、アエシオ氏への上議停職は犯罪関与が立証される前の予備的措置だったのに対し、今回の件はアウベルタッシ州議を同州の会計検査局審議官に指名して捜査妨害を図ろうとした現行犯逮捕に相当することだ。アエシオ氏も捜査妨害が疑われ、検察庁が逮捕を請求したが、最高裁が請求を却下したため、逮捕問題は議会での審議対象にならなかった。
こうしたこともあり、リオ州議会の決定は、結果が出た当初から批判の対象となっていた。州議会は17日の審議結果を地域裁に通達せずに3人を釈放させた上、同件の審議を公開で行うようにとのリオ州地裁の通達にも従わなかった。
今回の地域裁の決定は判事投票5―0という圧倒的なもので、報告官のアベル・ゴメス判事は文書で、「裁判所には議会が政治的な見解で行った釈放に従う義務はない」との見解を示した。問題の州議3人は同地域裁の決定後、警察に再出頭し、逮捕された。
ただし、リオ州議会議長団は地域裁の決定に対し、「2005年はジョゼ・ナデル・ジュニオール氏、08年はアウヴァロ・リンス氏の逮捕を却下できたのに、なぜ今回は認められないのか」との抗議声明を出した。
10月に最高裁が下した見解は既に、州議や市議の停職問題に適用されている。だが、リオ州議会の決議に対してはラケル・ドッジ連邦検察庁長官も最高裁に有効性の判断確認を要請しており、あいまいだった最高裁見解の適用範囲を改めて問うものになった。