ぶらじる川柳社(荒井花生主幹)の柳誌『ぶらじる川柳』215号が11月に発行された。《臭い金鷹が集まるブラジリア》(島田喜久枝)に納得。鷹というより、むしろ「ハゲタカ」か。地震、台風が次々と日本を襲う様子を詠んだ《天災の多き故国よ胸痛し》(栄森さかえ)にも共感。つらかった初期の移住生活を超えて、経済的な安定や子孫の繁栄を達成した心境を詠った《辛酸の異郷も今は桃源郷》(中山哲弥)。《貧すれば惚けたふりして義理を欠く》(秀夫)は膝を打ちたくなる快作だが、《騒がれた美人も人並みボケ始め》(桜井しずえ)には一抹の寂しさが漂う。共にボケを詠み込んだ2句だが、実に対照的。