【既報関連】7月11日に上院本会議で可決され、今月11日から施行開始となった改正労働法で、「労働者からの組合税徴収義務(以下、組合税)」が廃止されたことで、各労組は収入の約3分の1を失う見込みで、直接雇用職員の解雇や資産売却、職員への自主退職要請を始めたと、26日付現地紙が報じた。
労組間社会経済調査・統計所(Dieese)の試算によると、労組の弱体化による影響は、来年末までに少なくとも10万人の労組職員に及ぶ見込みだ。Dieeseによると、労組に関係する労働者は30万人で、内11万5千人は直接雇用者、18万5千人は間接雇用者だ。
600人の有給職員を抱えていたサンパウロ州商店従業員組合は、2カ月前に自主退職要請を行い、67人がそれに応じて退職したが、それでもさらに35人を解雇した。
Dieeseのディレクター、クレメンテ・ルシオ氏は、「組合税廃止によって、各組合は収入の3分の1を失うとの予想が的中すれば、来年末までに10万人の労組職員に影響が出るだろう」と語った。
Dieese自体も組合からの資金を受けて存続しており、来年度は予算の削減を余儀なくされる。今年の予算は4500万レアルだったが、来年は最も楽観的な予想でも、3000万レアルとされている。
労組には、組合税廃止以外にも厳しい現実が待ちうけている。例えばサンパウロ州建設業労働者組合(Sintracon―SP)は、不況による雇用不振で労働者そのものが減り、加入者も減少しているのだ。
危機感を募らせたSintracon―SPは、組合収入を増やすため、建設現場に直接足を運び、労働者を勧誘してもいる。同組合会長のアントニオ・ラマーリョ氏は、「強制的な組合税廃止は痛手だが、組合費を受け取ってもほとんど活動していない組合もあったし、労働者からの義務的な一律徴収は正しいことではなかった」と語る。
各種の労組を束ねる七つの中央機関は、廃止された組合税の代わりとなる交渉協力金(義務的に徴収せず、労組と労働者が話し合った結果、労働者が労組に支払うお金)を定める法案を後押ししている。
1310もの労組を束ねる、国内3番目の中央機関のブラジル一般労働者組合(UGT)は、組合税廃止に伴う収入減を補うため、来月から3分の1の広さの事務所に移転する。国内最大のブラジル単一労センター(CUT)も自主退職要請を計画中だ。