民主社会党(PSDB)の次期党首選は、当初の出馬候補が断念したことにより、ジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事が新党首になる方向で実質一本化し、同氏が大統領選出馬に大きく前進することとなった。27日付現地紙が報じている。
新党首選出は12月9日の党大会で行われる予定だった。だが、それを待たずして、候補だったタッソ・ジェレイサッチ上議とゴイアス州知事のマルコーニ・ペリーロ氏が出馬を取り消した。
その出馬断念の背景には、同党に芽生えていた分裂危機を恐れる空気があった。そもそもの対立は、アエシオ・ネーヴェス党首と、同氏が5月のJBSショックで停職処分を受けた直後から11月9日に電撃解任されるまで党首を代行していたタッソ氏との対立にあった。いわば、ペリーロ氏を介してのアエシオ氏との代理戦争だった。
その主な対立理由は、連立政権への残留をめぐるものだった。アエシオ氏は残留を強く主張していたが、タッソ氏は強硬に離脱を主張していた。この対立は、倫理上の問題でアエシオ氏に党首辞任を求めていたタッソ氏が党首選出馬を明らかにした直後の、アエシオ氏によるタッソ氏の党首代行解任も招くなど、事態は深刻化していた。
タッソ氏はアウキミン氏を大統領候補として強く推している。アウキミン氏は、16年5月のテメル暫定政権発足時から連立与党入りすることに反対していた。だが、その一方で、タッソ氏の訴えを受けて今すぐに連立与党から離脱すれば、PSDBが政界で孤立するのではと懸念していた。
アウキミン氏はそこを丸く収めるべく、23日にタッソ氏、26日にペリーロ氏とそれぞれ会談した。また、27日にはサンパウロ州庁舎で、兼ねてから「大統領候補のアウキミン氏が党内をまとめるべき」との持論を展開していたカルドーゾ元大統領も交えて、4人で夕食会を行った。
アウキミン氏は夕食会後、取材陣に答え、「もし私の名前が党をまとめるのに一役買い、それがブラジルが変わるために必要ならば、調停役を引き受けることもやぶさかではない」として、公の場では初めてかつ明確に、PSDB党首になることに強い意欲を見せた。
また、取材陣からはテメル政権とPSDBの今後についての質問も受けたが、「私の持論は以前から変わっていないが、16年5月の時点では党の総意とならなかった」と答え、今後の協力のあり方については含みを持たせた。
テメル大統領が来年の大統領選に連立与党6党の「中道右派」勢力で臨もうとしていることは昨日付本紙でも報じたが、PSDBがそこに距離をとるのか組むのかは、アウキミン氏が大統領選出馬の際の連立の方向性と共に、注目されている。
なお、党首はあくまで党大会で決まるもので、出馬の受付は引き続き行うと、現在の党首代行のアルベルト・ゴールドマン氏は語っている。