宗教法人GLAブラジル支部(尾田嘉雄理事長)は19日(日)、サンパウロ市リベルダーデ区のFECAP劇場で、「あなたがそこで生きる理由(わけ)」と題した高橋佳子講演会映像の集い(ポ語音声通訳通訳付き)を開催した。青年層や家族連れ、熟年層と様々な世代約250人が熱心に耳を傾けた。
講演の前には、GLA主宰の高橋佳子氏の著書ポ語翻訳を手掛け、同会員でもある二宮正人さんが挨拶に立ち、「高橋先生の著書は奥が深く、翻訳作業は困難であるが、大きな喜びでもある。現在翻訳中のものも何とか百十周年までに出版したい」と語った。同翻訳本は現在、キンドルやiブック等、電子書籍でも販売を開始している。
映像の講演は、10月29日に兵庫県神戸市で行われた。今回の上映会のために日本の本部より3人が来伯。長年GLAの講師を務めている谷口健彦さん(奈良、74)がビデオ講演のナビゲーターとして登壇した。
谷口さんは「AIなどの機械に人間が取って代わられようとしている。今回出版された著書『あなたがそこで生きる理由―人生の使命の見つけ方』の中で、佳子先生は一人一人に確かな存在理由があり、果たすべき使命がある。それに気付いた時、日常や人生は根本的に一変すると書いている。私もその具体的な手がかりがこの本にあると感じている」と講演テーマの焦点を説明。
映像で紹介されたのは山田さんという女性。高橋氏の言葉が励みとなり、2014年に勤めていた福祉施設を退職、自分の介護事業所を開設。知識を得たいと40代後半で福祉の大学院へ進学し、修士号も取得した。
末期ガンの父親を自宅介護したいという相談者の依頼で介護プランを考えた時、山田さんは文句や不満ばかり言われ、理不尽だと感じた。その感情が良くないと気付き、強い言葉を投げられても受け止めようと気をつけた。2年後に父親が亡くなった時、相談者から「父は本当に幸せでした」と言われ、やるべき事をやれて良かったとの気持ちになったという。
高橋氏曰く、人間関係や業界の常識等の中で、他人の考えに影響される。その中に埋もれて無限回廊のような同じ日常が繰り返され、焦燥感や徒労感だけが残り、自分の輝きを失ってしまっている。山田さんの場合、本当にやりたいことは介護だと気付き、独立したことで自分の状況を変えた。自分本位の感情に気付いたことで、相手へ心から尽くすことが出来たと、山田さんの例を通して具体的に説明した。
高橋氏は「誇ることのない人生なんてない。命の力が輝けば、使命を果すことが出来る」と命の使い方を見つけることが大事だと締めくくった。
講演映像の後、懇親の場が用意された。著書の販売コーナーや『自己診断チャート』で自分の性格を知る自己診断コーナーがあり、非日系の若い人たちも気軽にスタッフに説明を聞いて理解を深めていた。
17年間GLAブラジル支部で勉強しているサンパウロ市在住の阪倉もとえさん(長野、85)は「最初は信次先生の教えに惹かれて勉強を始めたけれど、佳子先生の話も素晴らしい。もっと昔の辛い時期に勉強出来ていたら人生違っていたかもね」と笑顔で語っていた。
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今回初来伯となったGLAの谷口健彦さんは、東大卒でトヨタ自動車入社の超エリート。学生時代から新しい教えに興味があったという。30歳の時、GLA創設者である高橋信次氏の本と出会い、すぐ入会。周りの反対も聞かずに会社を辞め、GLAの活動に専念した経歴の持ち主。懇談の場で色んな方から話しかけられ、一人一人に丁寧に対応していた。谷口さんに当地の印象を尋ねると、ブラジルの明るい雰囲気と、食文化がとても気に入ったそう。活動を行うに当たっては、素直に教えを実行している人が多いことに驚き、「時間をかけて人材を育てていきたい」と語っていた。