エリゼウ・パジーリャ官房長官(民主運動党・PMDB)は11月29日、民主社会党(PSDB)は「もはや連立政党ではない」と明言し、離脱を急がせたい旨を話した上、テメル大統領に関しても、「再選のための出馬はない」と語るなどした。11月30日付現地紙が報じている。
PSDBの次期党首就任が有力視されているジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事が、11月28日に「自分が党首になった暁には連立与党を離脱する」と発言したことは昨日付本紙でも報じたが、その翌日は、パジーリャ官房長官が取材陣に対して「もうPSDBは連立与党ではない」と公言。「残された連立基盤で2018年のプロジェクトに備えるのみだ」と答えた。
パジーリャ氏の気持ちでは、アウキミン氏が新党首に選ばれるであろう9日のPSDB党大会を待たずして、離脱を行ってもらいたく、2日に行われるテメル大統領とアウキミン氏の対面でその手はずを整えたいとしている。
PSDBは現在、閣僚が3人いるが、ルイスリンダ・ヴァロイス人権局長官の辞任は決定的で、配置換えも含め、少なくとも党大会までは残留をと望んでいたアントニオ・インバサイ大統領府事務局長官もその前に辞任せざるを得なくなる可能性がありそうだ。
ただ、テメル氏は、サンパウロ州政界での長い友人でもあるアロイージオ・ヌーネス外相だけは、「連立政党」だからではなく、「一個人」の肩書きで残留させたがっている。また、ヌーネス外相は11月30日に、「PSDBはまだ連立を離脱してない」として、パジーリャ氏に反論している。
PSDB内では、現党首(JSBショック後から休職中)のアエシオ・ネーヴェス氏の勢力と、前党首代行のタッソ・ジェレイサッチ氏の勢力の双方が、連立離脱後も連立与党の提案する社会保障制度改革に賛成する立場を取っている。
だが、同党内部では、改正内容に不満を抱く党員も少なくなく、連邦政府としてもまだ予断を許さないところだ。
パジーリャ官房長官は、残った連立政権の進歩党(PP)や社会民主党(PSD)、民主党(DEM)、共和党(PR)、ブラジル労働党(PTB)などと中道右派の勢力を築きたいとして、かねてから報じられている説を認めたが、テメル大統領はその場合も再選を目指す気はなく、自身の後継者を探している状況だとも語った。
今回の大統領選に関しては、有力な候補者が明らかになっている政党でも連立の見込みが立っていないところがほとんどで、選挙放送の時間帯が豊富なこの中道右派勢力がどう動くかが注目されているところだ。