NGO「オイスカインターナショナル」(中野良子総裁)は11月25日、サンパウロ州クーニャ市で植樹を行なった。同団体は2年間で50万本を植える予定で、今回はその第一回目として日本から中野総裁、渡辺忠副総裁ら9人が来伯。協力者約50人とともに水源地に千本の苗を植えた。
ブラジル政府は25年までに1200万ヘクタールの植林目標を掲げ、州政府も600万本の植樹を目指している。オイスカはその内の50万本を協力する。
オイスカ・ブラジル総局(高木ラウル会長)のゼネラルマネージャー高木オズワルドさんは「クーニャの水源地帯はリオ州、ミナス州にも続く『水の要』。植樹をすることで下流への土砂の流出を防ぎ、水質や水量を安定させる」と活動の意義を語る。
今回の植樹には同総局、コチア青年連絡協議会(前田進会長)、ブラジル・ニッポン移住者協会(杓田美代子会長)などから50人が参加。
より自然に近い環境を再現するため、大西洋森林地帯の植物約50種類の苗を千本を植えた。今後も地元農家、酪農家の協力のもと2年間で50万本を植える予定だ。
中野総裁は「ブラジル政府が植林活動に力を入れると発表したのは素晴らしいこと。ただ、1200万ヘクタールは日本の本州の約半分の面積。言葉で言うのは簡単だけれど、実際に行なうのは大変」と考えを示した上で、「オイスカは継続して活動し50万本を達成したい」と意気込んだ。
コチア青年連絡協議会は今回初めてオイスカの植樹活動に協力し、31人が参加した。前田会長は「これまでコチアも植樹活動を行なっている。オイスカとは同じ目的を持っているので、今後も協力していきたい」と話した。
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オイスカ・ブラジルによると、日本の国土全体の森林率は69%。対してブラジルは1948年に90%だったものの、現在は56%にまで低下。日本よりも少なくなった。サンパウロ州や南東部にまたがる大西洋森林地帯に関しては10%を下回り、生息する65%の植物が絶滅の危機にさらされているという。ブラジルがこれまで環境問題に関心を寄せていなかったことの現われか。政府の植林目標が、国際批判を避けるための建前でないことを祈るばかり。